「本物の、蓮舫です」。そう言いながら民進党・蓮舫代表が眼前にグイッと顔を近づけてくる。国会審議さながらの「追及」体験はここから始まる。
疑似体験ゲーム「VR蓮舫」だ。J-CASTニュース記者が公開前に実際に体験してきた。その臨場感の一端を報告する。
ホラー映画のような恐怖
「VR蓮舫」は、民進党が2017年4月29、30日に幕張メッセ(千葉市)で開かれるイベント「ニコニコ超会議2017」のためだけに開発した。プレーヤーが「首相」となって蓮舫氏による国会での追及を疑似体験できる。VR(Virtual Reality=仮想現実)技術は、専用機器によって視界の360度が映像に包まれ、平面のディスプレーとはまったく異なる「疑似空間への没入感」を味わえる。
記者が体験したのは4月27日。民進党本部で、専用のゴーグルとヘッドフォンをつけてプレーを開始すると、視覚も聴覚も一気に「VR蓮舫」の世界に包まれた。国会の委員会室の中央で座っている首相になりきれる。目の前に蓮舫氏が立っており、その奥に国会議員が座ってこちらを見ている。さらに、横に首を向けると両サイドにも7~9人ずつ、後ろを振り向くと背後にも3人の議員が厳しい表情で席についている。四方を囲まれていた。
「まさか、血税ではないでしょうね?」「はっきり答えてください」。蓮舫氏が周囲を歩き回ったり、身を乗り出したり、大きく手を広げたりしながら、矢継ぎ早に追及の言葉を浴びせてくる。話すトーンはテレビの国会中継や報道で見るそれと特に変わらないが、直接自分に、こうして至近距離でやられると、精神的に結構ダメージがある。正面から目を合わせて言葉を向けられるのはもちろんだが、背後に回られ、見えないところから厳しく追及されるのは、どこかホラー映画のような恐怖を覚える。
国会特有の「ヤジ」まで再現されている。蓮舫氏が語気を強めて発言すると「そうだ、そうだ」と四方を囲む22人の議員が重圧を上乗せしてくる。
「総理大臣適性」はD
ずいぶん長かった――。ようやく終わってヘッドフォンとゴーグルを外す。「これ、時間はどれくらいあったのですか」。民進党本部青年局の担当者は「約3分30秒です」と答える。そんなに短かったのか。時には丸一日がかりで蓮舫氏の追及を受ける本物の国会議員の心労はいかばかりだろうか。
VR蓮舫は心拍数を測りながらプレーする。追及を受けて心拍数が上がると、格闘アクションゲームなどで言う「ライフゲージ」が減少していく。終了時にその残りの値で「総理大臣適性」が診断される。記者は「適性なし」のDランクという烙印を押されてしまった。
前出の党担当者は「政治に関心を持つきっかけになってほしいという思いで生まれたのがVR蓮舫です。最初から『政策』ではなく、まずは国会の『雰囲気』から味わっていただければと思います」と話していた。