脂っこいものが好きな人はタバコ以上の依存症
番組では、日本女子体育大学水泳部の水球チームの選手に協力してもらった。水球は「水中の格闘技」と呼ばれる過酷なスポーツだ。練習後の選手6人に焼肉店で思う存分、カルビやロースを注文してもらった。次々とお代わりをし、6人で合計120人分の肉を食べた。丼のご飯まで平らげ、1人あたり約3000~4000キロカロリー分を食べた。成人女性の2日分を1食でとった計算だ。さらにその後、全員が甘いデザートを注文した。スイーツは別腹に入るようだ。
実は、彼女たちは「危険な味」を2つもとっている。肉(脂肪の味)とスイーツ(糖分の味)だ。「危険な味」とは「お箸が止まらなくなる味」なのだ。
MCの後藤「彼女たちは毎日ハードな運動でエネルギーを使っているから大丈夫ですが、このような食生活をずっと続けていると、味の好みがその後の人生を大きく変え、不健康になってしまいます」
ところで現在、20歳の時より5キロ以上太っている人は多いだろう。肥満と味覚の関係を研究している国立国際医療研究センターの松下由美医師は、「20歳の時より5キロ以上太った」約3万人を対象に「好みの味」を調査した。ラーメンのスープの「こってり味」、ケーキの「甘い味」、塩の「しょっぱい味」、梅干しの「酸っぱい味」の4つから選んでもらうと、もっとも太りやすい味は1位が「こってり味」、2位が「甘い味」だった。「しょっぱい味」と「酸っぱい味」は肥満とは関係がなかった。「こってり味」が好きな人は、きらいな人に比べ、肥満になる割合が45%も高かった。
「こってり味」とは水球の女子選手たちの箸が止まらなかった「脂肪の味」のことである。「脂肪の味」は依存性がきわめて強い。MCの後藤は「高脂肪は栄養世界の麻薬である」と強調した。「依存症の四天王」という言葉があるが、1位がコカイン、2位が高脂肪、3位がタバコ、4位がアルコールという。脂肪はタバコよりも「クセになる」味なのだ。