「8.10ペーパー」なくなって投資を加速
JALは10年の経営破綻後、公的支援を経て12年再上場した経緯から、全日空(ANA)などから「競争環境のゆがみ」を指摘する声が相次いでいたことから、国土交通省は前回12~16年度の中期経営計画の期間中、JALに対して
「投資・路線計画について報告を求め、その状況を監視する」
とする文書を出し、事実上新規路線の開設が制限されてきた。この文書は12年8月10日に出されたことから「8.10ペーパー」と呼ばれてきた。この8.10ペーパーの効力が2016年度末に切れたことから、JALは4月1日に羽田-ニューヨーク線を開設するなど、攻勢を強めてきた。今回の記者会見でも、植木氏ら登壇者からは「必要な投資はしていく」といった発言が相次いだ。
具体的には、航空機や情報システムを中心に年間2200億円程度を投資。19年度から国内線向けの大型旅客機、エアバスA350型機の導入を進めるほか、既存機材の座席も改修。主に東南アジア-日本-米国の乗り継ぎ需要が増えることを見越して路線を強化する。
国際線は輸送量の指標になる座席キロ(ASK=座席数×飛行距離)ベースで、20年度までに16年度比で23%の成長を目指す。飽和状態の国内線でも、インバウンド需要を見越して、現在は2%程度の外国人客の割合を4%に増やし、座席キロベースで5%伸ばしたい考え。