英語の処理つかさどる脳活動の大きさ、活動パターンに男女差
日本人の英語学習を巡る脳の研究のひとつに、首都大学東京が2015年8月17日に発表したものがある。発表資料によると、6~10歳の小学生男女計484人に、光トポグラフィーという装置を用いて日英両言語の単語復唱時の脳活動(脳表面の血流における酸素化状態の変化)を調べた。
男女間で顕著な差があったのは、音韻処理に深くかかわると考えられている頭頂葉の角回・縁上回と呼ばれる領域の活動だ。男子は英語復唱時、角回・縁上回を含む広範囲な脳領域を活動させていたが、女子は角回・縁上回の活動はほとんど見られず、言語にかかわる限局的な脳部位を使用していた。
英語の学習時間に強く相関する習熟度と、脳活動の大きさとの関係も調べた。習熟度の向上と共に、男子は復唱のパフォーマンスが上がり、言語にかかわる広範な脳部位の活動を高めた。女子は同じくパフォーマンスが上がる半面、言語にかかわる限局的な脳部位の使用にとどまった。
こうした結果から「英語課題のパフォーマンスは同等でも、英語の処理を司る脳活動の大きさや活動のパターンに男女差があることが明らかになりました」という。ただし、英語学習全般において男女差があるかどうかは、この研究からは明らかになっていない。