昭和大など「大便バンク」設立 100万人分を集め「最新がん治療」研究

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腸内細菌のデータから「がんにならない体」つくりを

――T細胞の集結具合が少ない人、つまりダムの水が少ない人が効きにくいということですか。その差はどこからくるのでしょうか。

「T細胞が多い人、少ない人、またT細胞の働きがいい人、よくない人の個人差があります。それは、その人本来が持っている免疫力の差だと考えられます。多くの人の腸内細菌を分析、比較することによって、どの腸内細菌が免疫力を高めるのか、また、どの腸内細菌を持っていると免疫療法が効きやすいのか、パターンがわかると思います」

――具体的にはどうやって便のサンプルを集め、どう活用していくのですか。

「昭和大学の8つの付属病院とほかの医療機関に働きかけ、文書でご同意を頂いた入院患者や外来を受診した人にお願いし検便キットを渡します。その人たちの病歴データを集め、腸内細菌の種類と照合します。現在、約1000人分集まっており、まず腸内細菌のDNAを検査して種類を特定することから始めます。また、手術で摘出したがん組織の詳細な解析と腸内細菌を検討することで、その患者さんの持つがんに対する免疫能を把握することができます。まず、免疫療法が効く患者さん、効かない患者さんをより分けることはそう先ではなくできると考えております。その後は、免疫療法が効く腸内細菌にどのように換えるか、すなわち、腸内細菌をコントロールすることで、がんにかからない、あるいは、たとえがんになったとしても免疫療法で治る体をつくることが究極の目的ですね」

――昭和大学Uバンクは他の病気にも応用できるのですか。その場合、どんな運用を考えていますか。

「最近は、うつや自閉症などの精神疾患や肝硬変、脂肪肝などの肝臓病も腸内細菌が影響しているという研究があります。また、花粉症などアレルギー疾患や自己免疫疾患など、がん以外の病気との関連を調べられるようにデータを構築したいと考えています。2017年中にデータにアクセスできるようにするのが目標です。患者さんのためになる試みであれば、広く皆さんに活用していただける昭和大学Uバンクの運用を考えております」
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