東日本大震災をめぐる失言で復興相を辞任した今村雅弘衆院議員をめぐり、余波が広がっている。この発言の数時間前には、ふるさと納税の制度を活用して三陸鉄道(岩手県)のために10万円以上の寄付をした人に贈られる「三鉄オーナー証」の授与式が行われたばかり。
県としては、これを機会に制度をPRする考えだったが、直後に起こった「不測の事態」で、一度は配信したプレスリリースを取り下げざるを得なくなった。
三陸鉄道のために10万円以上寄付すると「オーナー」に
今村氏は2017年4月25日夕方に行われた二階派のパーティーの席で、東日本大震災の経済的な被害に触れる中で、
「社会資本等のですね、毀損(きそん)も、いろんな勘定の仕方がございますが、25兆円という数字もあります。これはまだ、東北でですね、あっちの方だったから良かったが、これがもっと首都圏に近かったりすると、莫大な、甚大な被害があったと思っております」
と述べた。同日夜に発言を取り消した上で大臣辞任の意向を示し、翌26日朝に辞表を提出。後任には自民党の吉野正芳衆院議員(衆院福島5区)が就任した。
一方、岩手県は2017年4月25日、三陸鉄道の中村一郎社長が復興庁で今村氏に「三鉄オーナー証」を贈呈したと発表した。岩手県と三陸鉄道では、岩手県へのふるさと納税「ふるさと岩手応援寄付」で三陸鉄道への支援のために10万円以上寄付した人を「三鉄オーナー」と呼んでいる。「オーナー」になるのは今村氏が5人目。
岩手県の地域振興課では、辞任にともなって「特段の対応があるとは聞いていない」としており、「オーナー辞任」にはならないようだ。ただ、辞任の影響で、一度はプレスリリース配信サイトに掲載した発表文を取り下げるなどの対応に追われた。県の担当者は
「こういう不測の事態になり、残念」
「(授与式は)多くを期待して(復興庁に)お願いして実現したが、今回はちょっとタイミングが...」
と肩を落としていた。