経団連が2019年春に入社する大学生らの就職活動をめぐり、会社説明会を大学3年生(2018年)の3月、面接などの採用選考活動を大学4年生(同)の6月にそれぞれ解禁すると発表した。経団連は会員企業向けに解禁時期を定めた指針を毎年公表しており、2018年の就活は3年連続で同じ日程で行われることになった。
大学生らの就活日程は2015年春入社まで「説明会が3年生の12月、選考が4年生の4月」だったが、安倍晋三政権が「学生は学業に専念すべきだ」として見直しを迫った経緯がある。これを受け、経団連の指針は近年、目まぐるしく日程が変わり、2016年春入社の就活は会社説明会の解禁が前年の12月から3月に、面接など採用選考活動が4月から8月に、それぞれ4か月、後ズレになった。続く2017年春入社からは採用選考活動が6月に前倒しとなり、2018年春入社の今(17)年の就活も「3月会社説明会、6月選考活動」の現行日程を踏襲した。
現行日程を踏襲
経団連の榊原定征会長は17年4月10日の会見で、「現行の開始時期は学生の企業研究の時間確保に課題があるとの指摘もあるが、海外留学生や教育実習生をめぐる大きな混乱は見られておらず、全体的には評価する声が多かった」と述べ、同じ日程を維持する考えを示した。
しかし、榊原会長は2020年春入社以降の就活日程について「ベストのスケジュールではない。現行の指針が恒久的なものとは認識していない」と述べ、変更に含みをもたせた。「3月の会社説明会から6月の採用選考までの期間が短かすぎる」との指摘が企業側にあるためだが、榊原会長は「2020年度入社以降、必ず変えるというわけでもない。より良い採用選考活動のあり方を引き続き検討していく」と述べるなど、玉虫色の答弁に終始し、方向感は示していない。
インターンシップ(就業体験)をめぐっては、これまで5日間以上としていた最低日数要件を削除し、1日だけの開催も可能になった。現行制度では、3月の会社説明会解禁前の春休みにインターンシップを1日だけ行い、事実上の会社説明会とする企業が急増している。
有名無実化との批判も
経団連は「1日限りのインターンシップでも、学生のキャリア教育や企業の現場での学生の受け入れなど教育効果の高いものであれば実施しても差し支えない」としたが、「企業の広報活動や、その後の選考活動につながるような1日限りのインターンシップは実施しない」と明記し、会員企業に呼びかけることになった。
経団連の指針は大企業を中心とする会員企業の紳士協定に過ぎず、有名無実化しているとの批判もある。この点について、経団連は「政府は経団連を含む約450の経済団体・業界団体に、指針に基づく日程に配慮するよう要請している」と反論。指針は経団連会員企業だけに適用されるものではないと主張しているが、来(18)年は1日限りのインターンシップがさらに広がり、就活生の「青田買い」がさらに進む可能性もある。