自意識過剰とはつまるところ劣等感
「もともと日本人は村社会で生きてきました。コミュニティーの一部になっていないと『マズい』という認識が長らく続いたのです。食事は人とするもの、だから1人で食べていると『食事をする仲間もいないのか?』と、こういう思考になってしまうのです」
最近は、まわりの目を気にしても仕方ないという人が増え、「自分らしく」「おひとりさまの楽しみ方」が市民権を得ているが、感受性が強い人は、なかなかそうもいかない。
「人間は仲間がいると気が大きくなります。まわりに集団が何組かいて、自分だけ1人だと、まるで自分が小さくなった気になってしまうんです。それが居心地が悪いとか、恥ずかしいといった気持ちにつながります。夏目さんが言うところの『自意識過剰』というのは、この居心地の悪さや劣等感に当たると思います」
人目が気になる、気にならないの差は持って生まれた感受性だそうで、「人のことはあまり気にならない」という人は、ひとり外食に抵抗がない人が多い。反対に見知らぬ人に対して、相手がどう思っているかと心配になってしまう人は、ひとり外食は苦手な傾向にある。
ただ、杉山氏によれば「克服」する手はあるという。
「苦手な人はずっと苦手です。ただ、慣れで改善はします。ひとりでの外食を繰り返していると、最初は挑戦かもしれませんが、徐々に『ああ、こんなものか』と、環境に慣れてくると思います」