落語界の重鎮で、落語協会最高顧問の三遊亭円歌(本名中沢円法=なかざわ・えんぽう)さんが2017年4月23日、死去した。各メディアが報じた。戸籍上は85歳だが、本人談によると88歳。
「山のあな、あな...」のネタで一世を風靡した新作落語「授業中」で知られ、戦後の落語ブームを盛り上げた。近年は体調がすぐれなかったが、5月にも高座の予定が入っていた。
初めて眼鏡をかけて高座に
東京・向島生まれ。国鉄職員だったが、落語が好きで2代目三遊亭円歌に入門した。1948年、歌奴(うたやっこ)で二つ目昇進。初めてメガネをかけた落語家で、「授業中」をはじめ、「浪曲社長」「月給日」などの新作落語で人気を得た。5代目三遊亭円楽さん、初代林家三平さんらとテレビの演芸番組にも出演し、底抜けに明るいキャラクターでお茶の間のファンもつかんだ。
70年に3代目三遊亭円歌を襲名、このころから寄席を軸にした活動に移り、古典落語にも力を注いだ。87年から96年まで落語協会副会長、96年から2006年まで落語協会会長。06年から落語協会最高顧問を務めていた。女性の落語家ら多くの後進を育てた。
生粋の下町っ子で、昨2016年11月に亡くなったフリーアナウンサー・小川宏さんとは幼なじみだった。56歳の時に得度し、僧籍も持っていた。
空襲で戸籍を焼失し、作り直す時に家族が生年を「1932年」と間違えたとされ、本人は1929年生まれだと説明していた。このため、訃報を伝える各メディア(ネット版)の間でも表現にバラつきがあり、「85歳」とした社もあれば、「88歳」と報じた社もある。
2017年5月27日には東京・三越劇場で「米寿を祝う会」を予定していた。