ベトナムなどは再交渉を求める可能性
ただ、TPP11が実現するか否かには不透明要因も多い。まず、事実上、米国抜きで発効できないとの要件については、11か国の合意で条文から削らなければならない。また、そもそもTPP参加の最大の狙いが米国市場への参入だったベトナムやマレーシアにとって、TPP11は意味がないものに映りかねない。国有企業改革など厳しい条件をのんだベトナムなどは再交渉を求める可能性もある。各国が次々と再交渉を求める事態になれば、まとめるのは至難の業ということになる。
TPP11か国の中でメキシコやカナダは米国との北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を控え、どこまで米国抜きのTPP発効に積極的になれるかも見通せない。
2017年5月後半にはベトナムで閣僚会合が開かれる。麻生太郎・副総理兼財務相は4月19日、ニューヨークでの講演で、「(閣僚会合で)米国なしで11か国だけでやろうという話が出る」と言明しており、各国の動向が注目される。