「目のピント調節」機能性表示食品で肝炎に 健康食品による被害相談が急増中

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   目のピント調節という効果効能をうたう機能性表示食品を飲んでいたところ「薬物性肝炎(薬物性肝障害とも)」を発症した――こんな相談事例が2017年4月10日、東京都消費生活総合センターが毎年発表している「『危害』の消費生活相談の概要」に掲載されていることがわかった。

   厚生労働省の「重篤副作用疾患別対応マニュアル」によると、薬物性肝炎は一般的に解熱消炎鎮痛薬や抗がん剤、抗真菌薬といった医薬品によって起きることが多いとされているが、最近耳にすることが多い機能性表示食品でも生じたというのだ。

  • 健康食品で不健康になるのはシャレにならない(画像はイメージ)
    健康食品で不健康になるのはシャレにならない(画像はイメージ)
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製品名や事業者名は公開されていない

   「危害」とは商品や設備などによって怪我をしたり病気になってしまった場合を意味する。概要によると、被害者は40歳男性で友人からもらった「目のピント調節の機能性表示食品60粒入り1袋」を食用し続けていたところ、オレンジ色の尿が出た。その3日後には全身のかゆみを感じ、さらにだるさやめまいも出たため病院で血液検査を受けたところ「急性肝炎の疑い」と診断され、さらに別の病院で検査を受けた結果、「食用していた機能性表示食品による薬物性肝炎」との所見が出されたという。

   最終的な所見が出るまで男性は5か所もの病院を転々としており、回復まで1か月以上かかっている。商品の詳細が気になるが、分析にあたった都消費生活センターの相談課情報分析担当にJ-CASTヘルスケアが取材を行ったところ、「あくまでも分析を行っている立場であり、製品名や事業者名を公表する権限はなく、今後どのような対応がとられるかもわからない」との答えがあった。

「相談事例はあくまでも相談者の報告に基づいており、センターが当該機能性表示食品を解析した結果ではありません。ただ、危害相談の中でも非常に重篤な報告であり、我々としても危害防止の観点から広く知っていただく必要があると考え掲載したものです」

相談数は前年から3倍近く増加

   概要によると健康食品に関する危害相談は158件で、2016年度上半期の55件を大きく上回っている。急増している理由について前述の担当者に確認をしたが、「理由は不明」とのことだった。

   危害の内訳を見ると下痢や嘔吐、胃腸の不調といった「消化器障害」が85件、皮膚のかゆみや発疹、肌荒れなどの「皮膚障害」が46件、「その他の傷病及び諸症状」が26件、「呼吸器障害」が1件となっている。

   危害の程度は「医者にかからず」が82件と半数以上で「不明」も42件だが、「治療1週間未満」も21件、「1~2週間」が4件、「3週間~1か月」が6件、「1か月以上」が1件で、長期間の治療が必要となった例も少なくない。

   健康食品は手軽さもあって、医薬品ほど厳密に飲み合わせや成分について確認することが少ないと思われるが、食用前にかかりつけ医などに相談してみてはどうだろうか。

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