【熊本地震1年(下)】
「ディーン、行くんでしょ」 英出身モデル、再びボランティアに

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Facebookで全国から支援物資

   ディーンさんは仲間とともに、益城町や西原村の被災者支援を決めた。まずは、食料品や日用品を欲している被災者はどこにいるか、一方で支援物資はどこに蓄積されているか、情報を集めた。また、自分たちの拠点場所を確保した。広い空間と「住所」があると、外部から被災者向けの支援物資を送ってもらい、保管しておける。幸い、熊本市東部の介護施設が協力してくれた。益城町や西原村へのアクセスもよい。こうした態勢づくりは、東日本大震災のボランティアの実体験から学び取った知恵だ。連日、物資を詰め込んだ車を走らせ、避難所や被災した家に住む人に届けた。

   熊本入りしてから詳細を更新し続けたFacebookは、支援者とつながる重要なパイプとなった。ディーンさんだけでも、5000人の「友達」がいる。その先にはさらに多くの人のネットワークがある。日々の活動を投稿する際に、現地で手に入りにくいものをリスト化して掲載した。使い捨てのスプーンとフォーク、紙皿に紙コップ、粘着性の床クリーナーに消臭剤――。すると、リストを見た人から次々と送られてきた。寄付金の使途も、Facebookで「ガラス張り報告」した。

   5月6日を最後にいったん引き揚げるが、その後2度にわたり再訪した。被災者の家族や子どもたちとの交流も深まった。心身ともにダメージがあるはずなのに、誰もが前を向こうと努力している姿に力をもらったという。滞在中の5月4日のFacebookには、「ここでシェアした時間は、みなさんのためだけじゃなく、僕たちのためにあります」と書き込んでいた。その真意をたずねると、こんな答えが返ってきた。

「僕たちは日々、お互いに助け合って暮らしています。家族や友人だけでなく、知らない人同士でも。ボランティア活動を通して、『誰かのためになれる』と満ち足りた、幸せな気持ちになれました。自分にとっての喜びでもありました」

   今は東京で、「本業」のモデルや、日本中を旅しながら紹介する動画番組制作を手掛ける。熊本で出会った人たちとは、SNSを通じて連絡を取り合っている。

「熊本を去るとき、地元の人は『遊びに来てね』と言ってくれました。今度行く時は、熊本の街や人々が復興に向かって歩んでいる様子を見たい」
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