国立成育医療研究センターの研究グループは、妊婦の身長と妊娠高血圧症候群発症のリスクとの間には関連があることを、日本産科婦人科学会のデータベースを使用して20万人超の妊娠データを解析して突き止めた。
身長が低いほど発症リスクが高いことが分かった。研究成果は米産科系雑誌に発表された。
20万人超の妊娠データを解析
これまで、妊婦の身長と妊娠高血圧の関連を調査した報告は少なく、関連性が認められたのはデンマーク人を対象とした報告が唯一。しかも、その関連性は経産婦に限られるというものだった。
研究グループでは「一般成人では低身長が将来の高血圧のリスクになることが知られていて、このことを踏まえると同様の機序で低身長が妊娠高血圧のリスクになる可能性がある」と推測。
日本産科婦人科学会が集積したデータベースを使用して研究を重ねたところ、予想どおり、低身長の妊婦は妊娠高血圧症候群などのリスクが高いという仮説が実証された。
研究グループは、妊娠高血圧症候群のハイリスクを抱える妊婦には、予防効果が知られているアスピリン内服を検討するなどの対策が考えられるほか、疾患発症時に重篤な状態につながるため「低身長の妊婦には高次的な周産期医療を提供できる施設での出産を推奨すべきかもしれない」としている。