冴えない百貨店株
しまむらも4月4日、1万5810円をつけて年初来高値を更新した。その前日3日に発表した2017年2月期連結決算では、純利益が前期比32.8%増の328億円と、4期ぶりに過去最高を更新した。売上高は3.6%増の5654億円。2018年2月期についても、純利益は17.2%増の385億円と2年連続の過去最高更新を見込む。仕入れコスト削減の一方、過剰な値引きを抑えた効果が出るとみられており、安売り一辺倒ではない。やや気がかりなのは2017年2月期の既存店売上高の伸び率が前期比1.1%増と2016年2月期(4.7%増)から減速したことで、今後の動向に注目が集まる。マツモトキヨシHDの4月中旬の株価も、直近の底値である2月17日の5110円からは1割程度高い水準に持ち直しつつある。
一方、冴えないのは百貨店株だ。大丸、松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングは、直近高値(3月21日の1798円)から下落を続けており、4月13日には年初来安値となる1494円をつけた。4月10日に発表した2017年2月期連結決算は、純利益が前期比2.4%増の269億円だったが、売上高は4.7%減の1兆1085億円、経常利益が7.3%減の444億円と低調で、株式市場は売りで反応した。2018年2月期の業績予想で純利益が2.3%減としたことも、売りを加速させたようだ。17年4月20日には松坂屋銀座店跡地を再開発した商業施設「GINZA SIX」が開業。初期費用がかさむとはいえ、百貨店業界の未来を占う事業への期待感が後退したようだ。
業績悪化でトップが交代した三越伊勢丹ホールディングスの株価も低空飛行が続く。4月6日には1169円と年初来安値をつけた。業績が浮上する兆しも見えず、反転のきっかけをつかめないままだ。
こうした中、日本を代表する一大流通グループとなったイオンの岡田元也社長は4月12日、2017年2月期連結決算を発表した記者会見で、「脱デフレは大いなるイリュージョン」と指摘した。イオンは4月、傘下のスーパーで日用品などの値下げを実施しており、賃金が伸び悩む消費者の節約志向に寄り添う方針。イオンに追随する形で小売業界が全体としてデフレを前提にした競争に突き進む可能性も指摘されている。