ライブのダイブで鼻骨折 足が直撃、被害者「トラウマに」

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   楽しいはずのロックバンドのライブで骨折事故が起きた。オールスタンディングのライブ会場で、密集した客の上に乗っかって流れていく「ダイブ」行為をした客の足が顔面を直撃し、鼻骨を骨折したとツイッター上で報告があった。

   かねてから危険視されているダイブについては、「禁止」を掲げるライブも多い。一方で、ダイブも含めての「熱狂」がライブの醍醐味と考える向きも根強くいる。あるライブハウスの担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、「ダイブはなければないに越したことはありませんが...」と複雑な事情を話す。

  • ライブ中のダイブで骨折(写真はイメージです)
    ライブ中のダイブで骨折(写真はイメージです)
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流血止まらず、過呼吸に

   骨折したというツイッターユーザー「まちこ」さんは2017年4月17日の投稿で、当時の状況を詳細につづった。「ダイバー」の踵(かかと)がまちこさんの鼻に直撃し、激痛が走った。鼻と口から流血し、タオルで押さえても止まる気配がなかったため、気付いた他の客やライブハウスのスタッフによってホール外に誘導された。貧血状態になり、スタッフに応急処置を受けた。過呼吸にも襲われ、しばらく別室で休んだ。

   状態が落ち着くと、ライブが見られるモニター越しに観覧した。ただ、楽しそうな他の客を見ると「悔しい気持ちでいっぱいに」なったという。翌日、病院で鼻骨骨折の整復手術を受けた。ライブ後は、音楽を聴くと流血がフラッシュバックするため「ライブがトラウマになり、今後のライブが行けなくなりました」として、こう訴えた。

「ダイバーさんの知らないところで倒れて一生の傷になった自分がいます。知ってもらえると嬉しいです」

   まちこさんは4月19日、J-CASTニュースの取材に応じた。22歳の女性で、4月14日に愛知県内のライブハウスで行われた今回のライブでは最前方で観覧していた。オールスタンディングのライブは「今年8回目」で、「去年まで含めると数えきれません」とたびたび参加し、ダイバーの存在にも慣れている。それでも、気にならない程度のあざができたことは何度かあったが、「ここまでひどい怪我は初めて」という。現在の心身の状態についてもこう明かす。

「接客業をしておりますので、鼻を見られるという、人に対する恐怖もあります。手術後、痛みで何回も起きました。メガネをかける、化粧をする、洗顔全て痛いです。人の目が気になるようになり、 隣の人が少し手を動かしただけでもとっさに鼻を守ろうと手で隠してしまいます。音楽を聴くとフラッシュバックしてしまうので、今まで聞いていた音楽が聴けなくなってしまったこと、寝ようと思っても無音状態だと骨の折れた時の音が蘇ってしまうので、テレビをつけっぱなしにして気を紛らわして生活しています」

「『ダイブあってこそのライブ』という認識の方も多い」

   生活や仕事に影響が出たが、まちこさんは「被害者ぶってるつもりはありませんので、ご理解ください。マナーを守るダイバーさんがほとんどです」と一定の理解を示す。また、ライブハウス側には「命の恩人です」と感謝している。

   今回のライブが実施された愛知県内のライブハウスの担当者は、J-CASTニュースの19日の取材に「ダイブやモッシュ行為については禁止の貼り紙と呼びかけをしています。危険だという認識はスタッフの方で一致しており、安全面を考えればダイブはなければないに越したことはありません。ただ、『それあってこそのライブ』という認識の方も多く、出演者があおることもあります」と複雑な事情を明かす。「ライブ中、こちらとしてはホールスペースのスタッフを増やすなどの体制を取って対応しています」という。ただ、「12年ほど務めておりますが、骨折した方が出たのは初めてです」とも話していた。

   「ダイブ規制」は音楽ファンの間で頻繁に議論になり、そのたびに賛否両論が出る。たとえば、国内最大級の夏フェス「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」では、直近2016年の公式サイトで「ダイブ等の危険行為を固く禁止しています。危険行為を行った参加者には退場等の厳重な措置を取らせていただきますので、ご了承ください」と明記された。インターネット掲示板「2ちゃんねる」では、同フェスに参加してきたユーザーから「ダイブもあって面白かった」という声がある一方、「○○や□□(編注:実際は出演した有名ロックバンド名。編集部で伏字)がダイブを煽るってどうなのよ?」との向きもあった。

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