温厚なイメージで知られる広島カープ・緒方孝市監督(48)が激怒し、退場処分を受ける「事件」があった。原因は審判への抗議。誤審とみられる判定が1試合で2度続き、思わず声を荒げた。
物議を醸す判定を下したのは一塁・山路哲生審判。山路審判は同様の不可解判定が過去にも議論になっていた。
「どう見てもセーフ。誰が見てもセーフ」
緒方監督が現役時代も含めて初の退場処分を受けたのは、2017年4月19日に行われた広島対横浜DeNAの試合。7回ウラ2死1、2塁の場面で、遊ゴロを打った小窪哲也はヘッドスライディングで一塁に飛び込んだ。テレビで流れたスローVTRを見るとタイミングはセーフに見えたが、山路審判はアウトの判定を下した。緒方監督が激高しながら詰め寄ると、すぐに退場処分となった。山路審判はアナウンスで「抗議を超える暴言があったため」と理由を説明した。
直前の6回ウラにも緒方監督が抗議する場面があった。1死、遊ゴロを打った田中広輔が一塁に全力疾走したところ、これもセーフに見えたがアウトを取られた。まさかの判定に田中は膝をついてうなだれた。「どう見てもセーフ。誰が見てもセーフ」。20日付デイリースポーツによると、田中は試合後にそう不満をあらわにしていた。
1試合で2度出た同じような「疑惑の判定」に、ツイッターユーザーからも疑問が続出した。
「山路審判員。ありゃ2つともセーフですぞ」
「『なぜ』あの2つがアウトに見えたのか...山路氏の口から理由を言って頂きたい...」
「2度にわたる微妙な判定(誤審?)をしたうえ、緒方監督の抗議を暴言として退場させた一塁審判・山路哲生氏」
谷繁も退場処分、理由は「私に触れたので」
別の場所でも論争が起きていた。誰でも編集可能なフリー百科事典サイト「ウィキペディア」では、試合直後から山路審判の項目をめぐって「編集合戦」が始まった。履歴を見ると、19日夜から多い時で1分間に6回も編集されており、「誤審が酷い」「誤審の神である」「誤審の多い審判として有名である」などといった表現が書き込まれては消されていった。30分ほど経ったところで、特定のユーザー以外の編集を不可能とする「保護」の措置が管理者によって取られることになり、上記のような表現は現在記述されていない。
山路審判をめぐっては過去にも不可解判定があった。15年5月2日のDeNA対中日戦、DeNAは9回表に出たヒットで、1塁走者のバルディリスが一気に本塁にスライディングした。捕手の谷繁元信は捕球後に倒れながらも腕を伸ばし、ギリギリのタイミングでタッチアウトしたかに見えたが、球審を務めた山路審判はセーフの判定を下した。すぐさま立ち上がって抗議した谷繁は、当時プロ3001試合目にして初めて退場処分を受けた。山路審判は「私に触れたので」と説明した。
翌16年6月19日、中日と日本ハムの交流戦でもあった。4回ウラの中日・ナニータの打席でボール球がバットに触れたとして山路球審にファウルを取られた。中日はこれに加えて、3回表の日本ハム・中島卓也の内野安打1塁セーフ判定と、8回ウラの中日・亀澤恭平の二ゴロ1塁アウト判定の、計3つの判定を問題視して日本野球機構(NPB)に意見書を提出していた。
広島も今回の試合後、一塁での山路審判による二つの判定を巡ってNPBに意見書を提出した。