【美と若さの新常識 自分力で手に入れる美肌】(NHKBS)2017年4月13日放送
糖尿病の食事療法が美肌をつくる不思議
女性ならば誰でも憧れる美肌。その美肌を手に入れるための食事方法があるという。
「何それ、スーパーフードとか、高い物を買わなければいけないんでし」と疑心暗鬼のアナタ。「ええっ、そんなに簡単でいいの!?」と驚く方法だ。
人間の体は内側から「焦げている」
番組の冒頭、MCのお笑いコンビ・フットボールアワーの後藤輝基がゲストたちに聞いた。
「みなさん、そもそも美肌とは何でしょうか? 番組では、こう定義しました」
そして、お肌に以下の5つの条件がそろっていることとした。
(1)うるおいがある。
(2)毛穴が目立たない。
(3)キメが整っている。
(4)はりと弾力がある。
(5)シミが目立たない。
この日のゲストは、美容家のIKKO(イッコ)、お笑い女性芸人のキンタロウ、フリーアナウンサーの高橋真麻。「うん、そうね」と一同、大いにうなずく。
MCの後藤輝基「この条件の4番目に注目してください。はりと弾力のある肌。これは若さを保つことから生まれます。そのための新常識とは『体を焦がさないこと』です。人間は体の中から焦げているのです」
高橋真麻「焦げるって何ですか? 紫外線で日焼けすることかしら?」
「焦げる」とは、体の組織の「糖化(とうか)」という状態が進むこと。そして、「糖化」が進むと肌が「老化」して弾力とみずみずしさが失われる。「糖化」イコール「老化」なのだ。だから、「糖化」を防ぐことが若々しさを保つことになる。「糖化」とはいったい何か、老化が専門の同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターの八木雅之教授が、豚の皮膚を使った実験で分かりやすく見せた。豚の皮膚は人間の肌と成分・構造がよく似ている。ピンク色の豚の皮膚を2つ用意し、1つを人間の体液と同じ成分の液体に、もう1つを、それに大量のブドウ糖を加えた液体に浸した。そして2日間、人間の体温を同じ37度の室内に置き変化を比べた。
糖分が肌の老化物質をどんどん増やしている
すると、ブドウ糖を加えない方の皮膚はピンク色のみずみずしさと弾力を保っていたが、ブドウ糖を加えた方は、焦げ茶色に変わり、古いゴムのようにボロボロになった。硬度計で弾力を測ると、2.5倍硬くなっていた。皮膚の表面を拡大した画像を見ると、黒ずんでシワシワになっている。
キンタロウ「ヤダ~、汚い肌」
八木雅之教授「これが『糖化』です。ブドウ糖の摂りすぎは老化を進めます。糖化が進むと組織内にAGEs(エージーエス、終末糖化産物)という老化物質が増えます。そして、AGEsが皮膚の中に網の目のように張り巡らされたコラーゲン繊維にベッタリとからみつきます。ベッドのスプリングのように弾んでいたコラーゲン繊維が、ギシギシときしんで弾力を失ってしまいます」
スタジオには八木雅之教授の同僚で同じく老化に詳しい米井嘉一教授が登場した。そしてゲストの3人の肌の「糖化」度を検査し、「肌年齢」を測定した。「AGEsリーダー」という機器に腕を載せるだけで簡単に測ることができる。その結果は――。
(1)IKKO(実年齢55歳)...59歳。
(2)キンタロウ(35歳)...27歳。
(3)高橋真麻(35歳)......47歳。
高橋真麻「ええっ、うっそ~!(大ショックで顔を伏せる)」
MCの後藤輝基「米井先生、糖化を防ぐことはできないのですか?」
米井嘉一教授「できますよ。AGEsをつくらない生活をすればよいのです。糖化が進まなければ肌も老化しません。40、50、60歳になるにつれ、糖化の個人差が大きくなります。生活習慣の違いのツケが肌に出てくるのです。食事がもっとも重要なのです」
「食べる順番ダイエット法」が美肌も作る
ここでMCの後藤輝基が大声で強調した。
「美肌のヒミツは食にあり! 美肌を作る食事療法が意外なところにありました!」
番組スタッフは京都市に住む77歳の男性、北村春生さんを訪ねた。北村さんは10年前に糖尿病にかかったが、薬を飲まず、インスリン注射もせず、食事療法だけを続けている。肌がツヤツヤして若々しい。10年前の写真と比べると、むしろ若返ったように見える。北村さんが行なっている食事療法は非常に簡単だ。ルールは次の2つだけだ。
(1)食べる順番を最初に「野菜」、次に「肉や魚介類などのタンパク質」、そして最後に「コメなどの炭水化物」にする。この順番をしっかり守る。
(2)食べ物はすべてよくかむ。
「食べる順番」と「よくかむ」を守るだけなのだ。食べる量は関係ない。好きなだけ食べてよいが、先に食べた野菜の食物繊維が腸に早く届くため満腹感が得られる。それに、しっかりかむため、自然に最後の炭水化物の量が減っていく。北村さんは晩のおかずを、キノコ、カイソウ、サラダから食べ始めた。5分間、しっかりかんでいる、次に豚肉のレバー、サバのみそ煮、そして最後にご飯だが、半分残した。
北村さん「外食の時もこのルールは守ります。家でしっかり野菜を食べてから外に出ます」
実はこの「食べる順番食事療法」は、現在、「食べる順番ダイエット」として人気になっている方法だ。考案したのは糖尿病の専門医院「梶山内科クリニック」院長の梶山静夫医師だ。もともとは糖尿病患者を食事で治す療法だった。梶山医師はこう説明する。
「最初にご飯(炭水化物)から食べると、血糖値は急上昇します。食べる順番を変えて野菜から食べること、そしてよくかむこと、この2つを守ると血糖値の上昇を抑えることができるのです。食物繊維が小腸に届くと消化器ホルモンのGLP-1が分泌されます。すると、胃の運動が穏やかになり、インスリンの分泌が促進されて血液中に糖分が増えることを抑えます」
つまり、この食事療法を行なうと、血糖値が下がる。血糖値が下がると、血液中の糖分が減るから「糖化」が進まなくなる。そして肌の老化が抑えられ、若々しい「美肌」を維持できるというわけだ。
「梶山内科クリニック」で食事療法を続けている患者数人に集まってもらった。皆さん、肌がキレイだ。
50代女性「吹き出物が出なくなりました」
60代男性「肌が若いので、『何かされています?』とよく聞かれます」
ハーブ茶のブレンドが美肌にいい理由は
高橋真麻が米井教授に聞いた。
「甘い物が好きなのですが、老化につながるのですか?」
米井教授「はい、そうです。若いうちなら糖分を体内に吸収してエネルギーに変えられます。しかし、25歳を過ぎると、そんな甘いものではなくなります(笑)。糖分が蓄積されてどんどん糖化反応進み、肌を老化していきます」
高橋真麻「ひええ~」
MCの後藤輝基「しかし、米井先生、何かこれを食べると糖化が抑えられるというもの、ないのですか?」
米井教授「あります。糖化が抑えられることを研究や臨床試験で確かめたものがあります。『抗糖化茶』と呼ばれるものです」
スタジオに、その嬉しいものが皿に盛りつけられて運ばれてきた。ハーブ茶だった。次の9種類だ。
(1)甜(てん)茶。
(2)バナバ茶。
(3)柿の葉茶。
(4)クマザサ茶。
(5)ドクダミ茶。
(6)カモミールティー。
(7)西洋サンザシ茶。
(8)ブドウ葉茶。
(9)グアバ茶。
米井教授「これらの茶から抽出したエキスを調べると、AGEsの生成を抑制、分解、そして体外に排せつする作用があることがわかりました。いくつかをミックして使うと効果が高まります。私が40~60代の女性24人に飲んでもらった実験に使ったのは、ドクダミ茶と西洋サンザシ茶、ブドウ葉茶、カモミールティーの4つの組み合わせです。皆さん、くすみとしみが薄くなりました」
出演者一同で、その組み合わせのブレンド茶を飲んだ。
出演者一同「う~ん、おいしい。ドクダミの香りがいい」
米井教授「これを1日に2~3杯飲むと、糖化、つまり老化が抑えられます」