「○○アレルギー」はなぜ生まれる?
「ポジティブでなくてはいけない、前向きでなくてはいけない、という人たちにとって、ドリカムさんのような『信じていればきっと願いは叶うよ』というメッセージは非常に心地いい。それもキレイなメロディー、美しい歌声にのせて伝えてくれる。諦めそうな夢を励ましてくれる気分になれるんです。ただ、その一方で、『もう諦めてしまいたい人たち』『現実を見ている人たち』は、このドリカムワールドに違和感を感じます。耳障りという人もいるでしょう」
杉山氏によると、もともと日本人は夢よりも現実を見る人が多い国民性だという。ドリカムの世界観とは反しているが、なぜドリカムは国民に愛されたのか?
ドリカムが流行った90年代は、バブルの残り香がまだあった。「終わり」が分かっていつつもこの生活を手放したくないという「ポジティブ強迫」になっていた。そこに、ポジティブなドリカムの世界観がはまったのでは、と杉山氏は分析する。
そして時代は流れ、今は「さとり世代」の発信力が強まっている。
「さとり世代の人たちは、基本、現実を見ていますから。当時では『ドリカムはちょっと......』と言いづらい風潮も、徐々に緩和されていったのでしょう。そこに来ての『ドリカムアレルギー』という言葉。きっかけは番組ですが、一気に広まったのもうなずけます」
この「ドリカムアレルギー」をきっかけに、実は「○○アレルギーだ」という発言もSNSで広まりつつある。
ざっと見ただけでも、西野カナアレルギー、aikoアレルギー、大塚愛アレルギー、EXILEアレルギー、ミスチルアレルギー......など。いずれも、多くの人に影響を与えるアーティストばかりだ。
この○○アレルギーに対しても、杉山氏は、
「アーティストは世界観をもっています。有名になると聞きたくない人の耳にも入ってきてしまう。そこでついていけない人が出てくるのは当たり前なんです。でもね、アレルギーの人がいるということは、それだけ際立った『色』がある証拠です」
と、話す。
「色」があればあるほど、アレルギーを発症する人が多いのは仕方ないのかもしれない。