大手すしチェーンの名称に関係して、「無添加」という言葉がインターネット上で話題となっている。日本語としての意味は「何もくわえていない」ということだが、当然それでは食品は作れない。
「無添加」という言葉は食品のパッケージでも見かけることは少なくない。表示にはどのようなルールがあるのだろうか。
実際に添加しているかは確認の術がない
食品表示の基本的なルールである「食品表示法」や同法に基づいて設定された「食品表示基準」では、「何らかの食品添加物を使用していない」ことを「無添加」としている。食品添加物は保存料や甘味料、着色料など、食品の加工・保存目的で使用する成分を指し、厚生労働省が食品安全委員会による安全性評価を受けたものだけ使用基準を定め、使用を認めている。
消費者庁の「加工食品品質表示基準Q&A集」では「『食品添加物は一切使用していません』『無添加』などと表示をすることはできますか」という問いに対し、
「通常同種の製品が一般的に食品添加物が使用されているものであって、当該製品について食品添加物を使用していない場合に、食品添加物を使用していない旨の表示をしても差し支えないと考えます」
とやや回りくどい回答。つまり、一般的には食品添加物を使用する食品なのに添加物を使用していない場合は「無添加」と表示できるということだ。ただし、「無添加」とだけ記載するのは何を加えていないかが不明確なので、「具体的に記載することが望ましい」とも記載されている。気になるのは「差し支えない」「望ましい」といった曖昧な表現だ。
例えば保存料も着色料も食品添加物だが、「保存料は使ってないが着色料は使っている」という場合でも、「保存料無添加」ではなく「無添加」と表示することは法的に問題がないのか。
J-CASTヘルスケアが都内の事業者を対象に食品表示のチェックを行っている東京都生活文化局消費生活部取引指導課に取材を行ったところ、「法的には問題はない」と担当者から回答を得た。ただし、東京都では消費者にとって不利益になると考え、曖昧な表示の場合は何が無添加なのかを明記するよう独自に指導をしているという。
「もちろん事業者の自由もありますし、食品表示法や景品表示法は根拠と事実に則った表示を促す事後規制法です。実際に添加しているかどうかは私たちも確認する術がないため、難しい問題であるのは確かです」