パソコン通信への先祖返り的側面も?
マストドン(Mastodon)は2016年10月、ドイツの若き技術者、オイゲン・ロッコさんが開発したSNSだ。17年3月ごろから海外で話題になり始め、日本でも4月10日あたりからネットメディアが紹介、注目を集めるようになった。
そのシステムは、ツイッターと掲示板のいいとこどりを狙った、という感じか。ITジャーナリストの三上洋さんは、こう解説する。
「ニュアンスとしては、特定のサービスの中でユーザーがつながり、それぞれ独自の文化が作られてきた『パソコン通信』に近いです。さらにいえば、アマチュア無線のパケット通信(RBBS)にもそっくり。掲示板ごとに文化、ルールはあるのですが、一方で世界にもつながっている」
ツイッターなら、一つの大きなオープンの「場」があり、運営も単一だ。国で言えば中央集権制である。しかしマストドンでは、各人が小さなフォーラム=「インスタンス」を作り、運営することができる。たとえば、記者が参加した「mstdn.jp」は日本向けのインスタンス、Pixivの「pawoo.net」は漫画・イラスト好きのためのインスタンスとして作られている。ユーザーは好きなインスタンスを選んでログインし、その中で会話を楽しめる。
一方、インスタンス同士はゆるやかに「連合」を結んでおり、インスタンスをまたいでユーザーをフォロー――たとえば、「mstdn.jp」にいながら、「pawoo.net」の人をフォローすることも可能だ(逆に、インスタンスのポリシー次第では「断交」もあり得る)。国にたとえれば「連邦制」だろう。
ツイッターほどオープンではなく、掲示板ほどタコツボではない。そこがマストドンの特徴か。