『知的生活の方法』のベストセラーを出し、保守派の論客として知られた英語学者で、上智大学名誉教授の渡部昇一(わたなべ・しょういち)さんが、2017年4月17日、心不全で死去した。86歳だった。各メディアが報道した。
昨16年秋には、天皇陛下の生前退位を巡り、専門家として意見を求められ、退位ではなく「摂政」で対応すべきとの見解を明らかにしていた。
第1回正論大賞を受賞
1930年、山形県生まれ。上智大学、同大学院を経て、独ミュンスター大学、英オックスフォード大学に留学。上智大学教授などを務めた。
英語学者として英文法史などを研究するかたわら、75年の『腐敗の時代』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。76年に出版した『知的生活の方法』は100万部を超えるベストセラーとなり、一躍名前を知られるようになった。
80年代に入ってから次第に保守派論客としての活動が多くなり、85年には第1回正論大賞を受けた。歴史教科書、東京裁判、従軍慰安婦問題などで盛んに発言した。
多数の著書があり、フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』などの翻訳も手がけた。