スゴイ記憶力を誇る「スーパー高齢者」 彼らの脳は普通の人とどう違うのか

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脳が萎縮するスピードが平均の半分以下

   脳の最も大きな部分の大脳皮質は、しわが刻まれた表層部で、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉の4つの部分に分かれ、思考から発話、音声、視覚、味覚などの知覚情報のすべてをつかさどる。そして、大脳皮質は加齢とともに少しずつ萎縮していく。一般に脳は40歳頃から縮みはじめ、10年で約5%縮むといわれる。この重要な大脳皮質をMRI(磁気共鳴画像)で詳しく調べ、18か月後の変化と比較し、大きさと萎縮の進み具合を調べた。

   その結果、大半の高齢者と同様、スーパーエイジャーにも脳の萎縮はみられた。しかし、、萎縮率は平均的な高齢者が2.24%だったのに対し、スーパーエイジャーはわずか1.04%だった。平均的な同世代に比べ、萎縮した量は半分以下ということだ。

   大脳皮質の体積はスーパーエイジャーの方がやや大きかった。特に「前帯状皮質」と呼ばれる部分が分厚かった。ここは、自律神経の調節と喜びや悲しみなどの「感情」を処理しているところだ。しかし、大脳皮質全体としては、統計上意味のある違いはなかった。つまり、スーパーエイジャーの脳がしっかりしているのは、脳が縮みにくいからなのだ。

   いったい、スーパーエイジャーの脳はどうなっているのだろうか。クック博士は論文の中でこう語っている。

「スーパーエイジャーの存在は、加齢によって必ずしも認知機能が低下するわけではないことを示唆しています。今回の研究は、参加者を誕生時から追跡調査したわけではないため、スーパーエイジャーの脳の量の方が最初から多かったのかどうかは不明です。今後は、遺伝的な要因があるのか、遺伝子レベルの研究も進めたい」
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