「製造特許」が取られたらどうなるか
なお、ネット上では「訴えられていい」などの声があったが、法的に問題化する可能性はあるのか。今回のケースを弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士に伝え、見解を取材したところ、まず「金精軒自身が、水信玄餅を製造する権利が奪われないかぎり、問題視しないと述べられていることから、現時点、法律的な問題が生じることは考えにくいでしょう」とした。ただ、「製造特許」の観点について、仮定の話として、こう説明した。
「金精軒と味甘CLUBそれぞれが商品を製造する過程で、独自に考案した方法があり、それが結果的に同一であったとして、味甘CLUBがその製造特許をとった、という仮定で考えてみましょう。そうなると、金精軒は味甘CLUBに無断で商品を製造する事ができなくなってしまいますので、金精軒は味甘CLUBの製造特許の無効を主張するなど法的な問題が起こりえます」
また、一般的に「料理レシピ、すなわち料理のアイデアには、著作権法上の保護がないというのが現状です」として、
「著作権法上の著作物とは、思想や感情を創作的に表現したものです。料理レシピはあくまでもアイデアにすぎず、頭の中にあるだけです。表現したものではないので著作権法上の保護ができません。じゃあ、そのアイデアを本にするなどすれば、保護されるようになるのか。レシピ本となれば、その本自体に保護は生じることになりますが、レシピそのものの保護は特にありません。肉や野菜の量、調味料の量など調理の手順や方法自体は誰でも思いつくものですので、創作的とはいえないのです。以上のことから、料理レシピ自体を保護することは、現状難しいといえるでしょう」
と説明した。