開幕して10日が過ぎた(2017年4月9日時点)プロ野球。驚くのは投手の暴投、四死球の多さ。まるで小学生の試合を見るよう、との声も。
広島、巨人、楽天の快進撃に大谷翔平の戦列離脱などの話題で持ちきりのプロ野球だが、その陰でとんでもない事態が起きている。投手の暴投、四死球が連発で大荒れ、という状況なのだ。
長打を警戒するあまり...
4月はこんな具合である。
・1日の広島vs阪神戦。28四死球に暴投1、失策5
・2日のヤクルトvs DeNAは14四死球、暴投2、捕逸1、失策2
・4日の楽天vsソフトバンクは8四死球に暴投3、捕逸1、ボーク1
先発した投手はこうだ。
・1日の中日バルデスは6回2/3で7四死球
・4日の阪神藤浪は5回で9四死球
・5日の西武高橋光は5回1/3で7四死球
さい配を振るう監督としてはなんともきつい。思わぬピンチばかりなのである。
9日までにセ、パ合わせて51試合を消化したが、暴投は30、四死球は400を超えた。いずれも昨年のペースをはるかにしのぐ。
大きな理由は落ちる球の多投にある。
この落ちる球は投手によって球種は異なる。フォークボールがその代表で、さまざまな握りから投げるチェンジアップも多彩だ。
投手は本塁打など長打をもっとも警戒するから、勝負球は低めの変化球でストライクゾーンからボールに外れる球をよく投げる。打者がショートバウンドだけでなくワンバウンドを振ることが多い。
落ちる球を見送られると、ボール球が多いから四球が増える。
「長打を打たれるより暴投、四球の方がいい、という結果になる。これに野手の失策が絡むと、とてもプロの野球とはいえなくなる」
こう嘆く評論家は少なくない。
なんらかの対策が必要
だから、小学生の試合のよう、と言われるのである。小学生の試合は四球は当たり前、暴投も数多い。当然のごとく失点合戦になる。
暴投、四球、それにワンバウンドを振るような打撃が盛り上がった試合の結末につながることが必ず起きる。また落ちる球の多投は故障につながり、投手の生命を短くするだろう。手術をする好投手が多いのもそれが原因の一つといわれている。高校時代からそんな球を投げていることも影響しているはずである。
大リーグは投打のバランスを取るために、たとえば投高打低が顕著ならばストライクゾーンを上げるなどの政策を実施した。日本も投手の落ちる球による負担を避けることを考え、何らかの知恵を出すべきだろう。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)