出品者、管理者、落札者は違法性の認識を
ヤフオク側の削除数の少なさも気になる。ヤフオクは場所を提供しているだけであり、薬機法や景品表示法上ヤフオクに責任があるわけではない。とはいえ、落札者が違法商品の表示を信じて病院などに行かず治療を受けずに病気を悪化させるなど、間接的な健康被害が起きる可能性は十分にある。もちろん直接的な健康被害もあるかもしれない。商品を販売する健康食品メーカーが標榜していない効果効能を出品者が表示し、メーカーの信用に影響することもあるだろう。
「ヤフオクのガイドラインでは医薬品の出品は禁止されていますが、健康食品は禁止されていません。ヤフオク側も健康食品だから問題はないという認識なのかもしれませんが、企業の道義的責任はあるのではないでしょうか」
出品者は商品概要などを読む限り個人が多いようだが、一部には企業の出品を疑わせるものもある。大谷教授も「末端の小売店などが出品している可能性もあるが、特定は難しい」と話す。通常のネット販売であれば即処分されてもおかしくないが、厚生労働省や消費者庁などもネットオークションまで手が回らない状態のようだ。
「医薬品調査の際も東京都の薬務課などから問い合わせがありましたが、違法ドラッグなどの摘発で手いっぱいで、オークションまでは確認できないようです」
ヤフオク以外にもユーザー同士が商品をやり取りする、いわゆるCtoCのインターネットサービスはいくつかある。そういった場所でも同様の事態になっているのではないかと大谷教授は危惧している。
「インターネット上のオークションやフリーマーケットなどが薬機法無法地帯となっているのであれば大きな問題です。出品者や管理者側はもちろんですが、落札者も違法性の認識が必要かもしれません」