再編の大きな流れ
その理由は足元の業績が好調なこと。2017年3月期は、両社とも純利益が過去最高を更新する見込みで、健康ブームを背景に、「それぞれ自分の事業に力を入れれば、業績の伸びしろは、まだある」(業界関係者)というムードが統合にブレーキをかけ、求心力は高まらなかったようだ。
ただ、売上高の規模は明治の1兆2237億円に対し、森永乳業で6014億円と半分で、製菓の1818億円を加えても8000億円に届かず、明治の3分の2にも満たない(いずれも2016年3月期)。さらに、世界に視野を広げると、食品再編は大きな流れ。2015年に米食品大手のクラフト・フーズ・グループとケチャップで知られるHJハインツが合併してクラフト・ハインツが誕生するといった動きが続いている。
当面、協業の可能性は追求するといい、将来的に統合の動きが復活することも考えられるというが、その時、現在より経営環境は悪化しているかもしれない。「人口減で国内市場は限界があるだけに、再編が進む世界で遅れをとらないためにも、業績好調で余裕があるうちに統合するのが好ましいのだが...」(全国紙経済部デスク)と残念がる声は少なくない。