震災を生き延びても命落とす悲劇 熊本地震の経験から学べること

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【ハートネットTV】(Eテレ)2017年4月12日放送
「災害関連死160人超 なぜ...」

   熊本地震から1年を迎える。自宅が被災した人の多くが、慣れない避難所生活や車中泊を余儀なくされた。

   地震では無事だったが、その後の窮屈な暮らしのなかで体調を悪化させ、亡くなった人が番組調べで170人に上る。「震災関連死」はどう防げるか。

  • 熊本地震で甚大な被害を受けた益城町(2016年5月撮影)
    熊本地震で甚大な被害を受けた益城町(2016年5月撮影)
  • 熊本地震で甚大な被害を受けた益城町(2016年5月撮影)

病院が被災して治療困難、転院の負担大きく

   熊本県合志市に住む宮崎貴士・さくらさん夫妻は、震災後に当時4歳だった娘の花梨ちゃんを亡くした。最初の地震が起きた2016年4月14日、花梨ちゃんは心臓の持病の手術を終えて入院中だったが、体に大きな影響はなかった。ところが「本震」となった16日未明の揺れで病院の建物が大きな被害を受けた。患者の治療継続が不可能となり、全員の転院が決まった。

   手術後に集中治療室にいた花梨ちゃんは、病院側が「搬送困難」とみていた。しかし選択肢は転院しかない。熊本県内は余震続きだったため、主治医は120キロ離れた福岡県の病院を選んだ。病状を考えるとヘリコプターは使えない。救急車に、治療に必要な機材を積み込んで移動した。

   だがそのかいなく、花梨ちゃんは5日後に命を落とした。搬送時に肺に負荷がかかり、体調を悪化させたのだという。

   53歳で亡くなった阿蘇市の村山利広さんも、震災関連死と認定された。統合失調症があり、農業を手伝いながら両親と暮らしていた。自宅は16日未明の地震で一部損壊となり、村山さん一家は3人で車中泊を始めた。避難所の暮らしは、利広さんにとって負担が大きすぎるとの両親の判断だった。だが、狭い車中のうえ余震が頻繁につづき、利広さんの精神状態が不安定になっていく。少しの物音でおびえるようになり、大声を上げることもあった。

   それでも周囲は、村山さん一家の存在に気づかなかった。車中泊開始から5日目、両親は利広さんを精神科の病院へ入院させる。しかしそれから7日後、利広さんは死亡した。死因は「内因性心臓死」。地震のストレスが精神疾患を悪化させたとの診断だった。

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