森友学園問題は終わりつつあるが、そこで仰天発言がでてきた。筆者は、本コラムにおいて財務省官僚に裁量を与えすぎて入札にしなかったり、文書の保存をしなかったりしたのが問題の本質といってきた(2017年2月23日配信、3月7日配信、3月23日配信)。最後になって、財務省がついに馬脚を現した。
財務省の佐川宣寿・理財局長は、4月3日の衆院決算行政監視委員会で、「パソコン上のデータもですね、短期間で自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、そういう意味では、パソコン上にも残っていないということでございます」と答弁した。
どこに発注したのか
この非常識発言に対して、ネット上では直ちに「ありえない」という反論がでてきた。少しでもシステムを経験した人であれば、このようなシステムは運用コストの割が合わないことを知っているだろう。HDD(ハードディスク)の容量に制限があれば、いっぱいになった段階で古いものに上書きしていくだけだ。これは、HDDへのテレビ録画を見れば素人でもわかる話だ。
HDD上で自動的に消去するシステムを作ることはできるが、そんな間抜けなシステムを設計する気になれないのはすぐ分かる。そこで、財務官僚が自らプログラムすることはできないので、誰かに発注したはずであるので、どこに発注したのかを聞けばいいと、筆者はツイートした。
そうこうしているうちに、4月10日になって、ようやくそうしたシステムが存在しないことを財務省の情報管理室が認めた、と朝日新聞が報じた(データは上書きされるが、上書きされてもデータはシステム上に残り、「復元できる可能性を否定できないという」)。だとすれば、国会で虚偽の答弁をしていたわけだ。
それにしても、財務省の文系官僚の無能さがはっきりと出てしまった。筆者は大学で数学専攻であり、若いときにはプログラム経験もある。官僚時代に、幹部がパソコン操作を人には表だって聞けず、筆者はしばしば幹部室に呼ばれて内々に聞かれた。そのとき「ウィンドウズをひらいて下さい」と言ったら、本当に窓を開けられたのには驚いた、など冗談のような話は尽きない。