「テレビは今後どんな番組を放送していけばいいのか」
ただ、伊藤さんが驚いたのは、視聴者からメールでの問い合わせがNHK大阪放送局へと相次いだことだった。「普段はこうしたメールでの意見って結構、批評的な内容のものが多いんですが...」として、次のように話す。
「今回のどらむでクッキングに対しては、『チョー笑った』『全然つまらない』とか感情的な意見が多かったんですよ。もちろん賛否は分かれていましたが(笑)。でも、こうした普段には無いような反応が出ることって、つまりは良くも悪くも視聴者の心に火をつける番組になれたんじゃないかと、そう好意的に受け止めています」
伊藤さんはさらに、ネット限定で番組を制作・放送する媒体が次々と誕生している現状について、「第二の開局、と言っていいぐらい重要な時期だと考えています」。そうした意識のもと、「テレビは今後どんな番組を放送していけばいいのか」を改めて考え直す中で生まれたのが、
「作り手側が純粋に面白いと思ったものを視聴者に投げかけてみる」
という「おもラボ」の実験的な企画だったという。
ただ、「どらむでクッキング」をはじめとした今回の企画番組に対しては、「NHKがやることなのか」「受信料の無駄遣いじゃないか」との批判も出ている。こうした批判について伊藤さんは「もちろん承知しています」とした上で、
「それでも、こうした新しい取り組みは続けて行きたいと、そう個人的には強く思っています」
と話している。