1試合で2本のPKを献上しながらも、浦和レッズの日本代表GK西川周作が無失点に抑える離れ業をやってのけた。
代表での西川は、先日の2連戦でPKストップを含むビッグセーブを連発した川島永嗣に正GKの座を脅かされている。西川自身「PKに弱い」というイメージを持たれてきたが、この日は違った。
PKキッカーはいずれもブラジル代表オスカル
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2017グループFの浦和は2017年4月11日、ホームで上海上港(中国)と対戦。上海は、欧州屈指の強豪チェルシー(イングランド)で5季プレーし、超高額の移籍金約81億円で加入したブラジル代表MFオスカルを擁する。前回3月15日のアウェー戦で浦和は2対3で敗れていたが、今回は1対0で接戦を制した。その最大の功労者は西川と言って間違いない。
先制して迎えた後半20分、オスカルがペナルティエリアに侵入すると、MF柏木陽介のファールでPKを献上。オスカルのPKはゴール右上の厳しいコースに。しかし、西川が右手を思い切り伸ばして弾き、ボールはクロスバーを直撃して跳ね返った。渾身のPKストップに浦和の選手が3人4人と駆け寄って労った。
後半30分には、DF槙野智章のハンドでまたもPKに。再びキッカーはオスカル。しかしボールは、大きく枠外へ外れた。気迫で圧倒した西川は咆哮した。
11日付英紙「ザ・サン」では、2度PK失敗のオスカルについて「残念なことに、このリーグで最も高額な選手は、浦和のGK西川周作にシュートを阻まれた」と報じている。
PK以外にも、後半24分にはルーのミドルシュートを横っ飛びでファインセーブするなど、シュート13本(浦和は7本)の猛攻を浴びながら、最後までゴールを割らせなかった。
「西川はPKに弱い」説
西川はPKに苦い経験がある。16年5月のACL、FCソウルとの試合がPK戦までもつれ込んだ。6対7で敗戦したが、ソウルは1本が枠外に飛んだだけで、西川自身は8本中1本もセーブできなかった。しかも浦和が外した2本のうち、1本は西川がキッカーだった。
日本代表でも、16年9月のW杯アジア最終予選のUAE戦、1対1で迎えた後半9分にUAEにPKが与えられた。西川はタイミングを外され、ゴール中央にシュートを決められた。これが決勝点となって大事な初戦を落とすこととなった。西川は最終予選の前半5試合に先発したが、5失点した。
年明け17年3月の最終予選2連戦では、いずれも川島永嗣が先発に返り咲いた。前半5試合で唯一黒星を喫していたUAE相手に川島はビッグセーブを連発し、続くタイ戦でも後半41分に与えたPKを止めた。重要な最終予選の2試合を無失点で終え、正GKは川島に変わったという印象を多くの人が持った。
それが今回のACL・上海戦の西川の躍動で分からなくなった。17年4月12日付「フットボールゾーン・ウェブ」によると、「西川はPKに弱い」という評価が西川自身の「耳に入ってきていました」という。それでも「そういう声に左右されずに自分のプレーを信じるしかない」と振り回されなかった。