キャンセル料は「あくまで抑止力」
予約を入れた後、店側に連絡せず一方的に予約をキャンセルする行為は俗に「バックレ」と呼ばれる。歓送迎会や忘年会が集中する繁忙期、この店では月に2~3件ほどバックレが発生しているらしい。
「店によっては、もっと多いと思います。居酒屋なら、連絡せずキャンセルすることに罪悪感を覚える方が少ないのでしょうか...。いずれにしても、モラルのない一部の方によってこのような行為が繰り返されるのは悲しいことです」
たとえ5万円、10万円の売り上げ減でも、店にとっては大損害だ。バックレは行為の「気軽さ」と対照的に、店側に深刻な被害をもたらす。店主は、
「せめて連絡はしてほしいと思います。連絡をいただければ、こちらも対応できるので」
と訴える。
「電話くらいはしてほしい」。そうした思いから、この店はキャンセル料を一切取っていないという。店主は取材の最後、
「私たちにとって、一組一組のお客様が特別です。もしキャンセル料を取り、(宴会の)幹事様だけが損をこうむったらとしたら、こちらも嫌な気持ちになります。キャンセル料はあくまで『抑止力』であって、回収自体が目的ではないのです」
と記者に話した。