立ち上がって会場を去る直前のあいさつ、言葉詰まる
同じ時代に活躍してきた選手にも触れた。浅田を高く評価し続け、17年3月に引退を表明したロシアのエフゲニー・プルシェンコには「私より長く選手生活を送ってきて、たくさんの記録、たくさんの人を魅了してきました。お疲れ様ですと言いたいです」。同い年で長くライバルとして国際大会で競い合ってきた韓国のキム・ヨナについては、「私たちが15~16歳のころから、ジュニアでもシニアでもお互いに刺激を与え合ってスケート界を盛り上げてこられたんじゃないかなと思います」と笑顔で話した。
「フィギュアに恩返ししたい」という浅田は、夏に予定されているアイスショーに参加するが、それ以外は「これから考えます」とした。行きたいところに「台湾」を挙げると、友達で卓球女子日本代表の福原愛の名前を出し、「愛ちゃんに案内してもらいます。良い人がいたら、愛ちゃんみたいに結婚する、かな」と笑った。
18年平昌五輪の女子日本代表枠はこれまでの3枠から2枠に減ったが「大勢の選手たちが争うので本当にハイレベルになると思います。刺激を与え合いながらやっていってほしいです」と前向きだった。「真央ちゃん真央ちゃん」と日本中から愛されてきた浅田は、次の世代に思いをはせる大人に成長していた。
最後の最後、立ち上がって会場を去る直前のあいさつ、浅田は変わらぬマイペースで「晴れやかな気持ちで引退を迎えることができました」としたが、言葉を詰まらせ、目を赤くし、後ろを振り向いた。心を落ち着かせた後「スケート人生で経験したことを忘れず、新たな目標を見つけて進んでいきたいと思っています」と振り絞った。もう一度後ろを振り向いて照れ隠し。「みなさん応援ありがとうございました」と言って会場を去った。