行楽シーズンの春。花見スポットには連日、家族連れやカップル、学生グループなど多くの人が訪れ、楽しいひと時を過ごしている。
そんな楽しいはずの屋外レジャーだが、女性にとっては1つ、気がかりなことがある。長々と続く「トイレの行列」だ。特に行楽シーズンの公園や駅などの女性トイレは注意が必要で、かなり余裕のある段階から並ばないと切羽詰って大変な思いをする。――だが、そもそも、なぜ女性のトイレばかり行列ができてしまうのだろうか。
男性からも「なんで女子トイレはこんなに混むの?」
「女子トイレ列長すぎ女子やめたい」
「めっちゃおしっこしたいのに、女子トイレには今日も長蛇の列」
「世の中の女子トイレの列の進みはなんでこんなに遅いの?」
ツイッター上を眺めてみるだけでも、女性たちからはこんな声がいくつも上がっている。多くがその列の長さや回転率の悪さにイライラを募らせているようだ。
一方の男性たちも女性トイレの行列を不思議に思っているようで、
「なんで女子トイレはこんなに混むの?」
「女子トイレが混んで長蛇の列になっているのを見るたびに、男に生まれて良かったと心の底から感じる」
といった意見が上がっている。確かに男性トイレは女性トイレに比べると空いているケースがほとんどだ。
こうした背景には、女性トイレが全て個室だということが関係しそうだが、とはいっても、これほどまで男女で違いが出るのはなぜなのか。
トイレといえば「TOTO」――ということでJ-CASTニュースは2017年4月初旬、TOTOの広報担当者に問い合わせ、「なぜ女子トイレは行列ができやすいのか」という単刀直入な質問をぶつけてみた。
女子トイレは器具数が少なくなりがち
「まず、女性はトイレの滞在時間が男性に比べて長くなります。たとえば小用の場合、男性は小便器でチャックの上げ下げをする程度で用を足すことができますが、女性の場合は手順が多くあります」(担当者)
女性の場合は最初に衣類の着脱があり、用足し後にはトイレットペーパーを使用する。場合によって生理処理も必要だ。また個室であるために、荷物の置き場所に手こずることもある。ただ単に小用を済ますだけと思いがちだが、滞在時間の差は意外にもあるようだ。
さらに担当者は、器具数の差についても指摘する。
「女性は全個室化が必須ですが、個室は男性の小便器に比べて面積をとります。するとトイレが男女同じ広さで割り当てられた場合、女性トイレに設置される器具数はおのずと少なくなります。そのようになりがちなトイレに男女同じだけの人数が集中した場合、器具数の差と滞在時間の差から女性トイレの回転率が下がり、結果的に行列ができやすくなってしまうのです」
要するに「利用実態と器具数のアンバランス」が原因ということだ。逆に男性トイレでは個室が少ないことが多いといい、実際、個室利用のための行列ができることがままあるという。
その上で担当者は
「器具数にゆとりをもって設置することが一番の解消策にはなりますが、器具数を多くすれば、施設の中でトイレが占める面積ばかりが大きくなりますし、清掃作業などのメンテナンスも大変になるので、それぞれの施設の事情や考え方が色々とあるのだと思います」
と実情を説明した。
「携帯電話」「メイク」「居眠り」
一方で、個室は用を足す以外のことがしやすい環境を作っているという点も、女子トイレに行列ができる理由になっている可能性がある。全体としてはそれほどいるわけではないかもしれないが、まるで「トイレは椅子付きの個室休憩所」と言わんばかりの使い方をしている女性が一部に存在するのだ。ネット上には、
「なんで駅のトイレの個室でメイクするの?」
「女子トイレの個室で電話でしゃべってる女性って何考えてるんだろ?」
「お腹的にピンチのときに、女子トイレの個室で寝てる女子はお願いだから出てきて」
といった声も散見されるのだ。
実際に記者が公共の女性トイレを使用した際にも、隣の個室から寝息やメイク道具を扱う音、携帯電話での話し声などが聞こえてくることが何度かあった。
個室で用を足す以外の事をしてはいけないといった決まりはないものの、一刻も早く...と我慢している人にとっては、なかなか辛い状況である。