「3度目の延期」という選択肢もあった
PwCあらた監査法人が東芝の決算を承認しない背景には、子会社だった米国の原発子会社のウェスチングハウス(WH)の内部統制問題がある。巨額損失を少しでも抑えようと、WHの経営幹部が部下に「不適切な圧力」をかけたとされることから、監査法人としては東芝の内部統制に不備があった期間を含め、過去の決算報告などに疑義をもっているからだ。 しかし、「適切に処理してきた」とする東芝と監査法人の見解の差が埋まらないまま、東芝は決算を公表した。
現在、特設注意市場銘柄に指定されている東芝株だが、東京証券取引所を傘下に置く日本取引所グループは、「決算書が(関東財務局に)提出されることになれば、虚偽記載や粉飾がない限りは、直ちに上場廃止にはなりません」という。
ただし、「提出された決算書は今後、日本取引所自主規制法人が精査することになりますが、この段階で、虚偽記載などが見つかった場合、上場廃止になります」と説明する。
つまり、「直ちに」上場廃止されることはないが、その可能性はくすぶったままというわけだ。
日本取引所グループの関係者は、
「東芝の選択肢としては、認められるかどうかは別にしても、3度目の延期を関東財務局に申請して承認を得る方法もあったわけです。それを......。 決算発表は本来、誰のために開くものなのか。それは株主であり、投資家ですよね。怒って当然だと思いますよ」
と、忸怩たる思いを吐露している。