妊娠中に発熱、意識不明となり多臓器不全によって病院で死亡が確認された妊婦の内臓から、「オウム病」の病原体「オウム病クラミジア」が確認された。厚生労働省から情報提供があったと、産婦人科学会が2017年3月29日に同学会公式ウェブサイト上で発表した。
エサの口移しも危険
オウム病は名前の通り、オウムやインコ、ハトなどが有するオウム病クラミジアによって発症する。動物にも人にも感染する病気で、厚労省によると主な感染経路は公園やペットショップで鳥の糞を吸入してしまうことや、噛まれたりエサの口移しなどでの感染例もあるという。
厚労省の報告書では、国内で年間4~50件程度の妊婦の死亡が確認されておりそのうち7%が感染症によるものとされている。今回死亡した妊婦は感染症の症状を有していたが原因となった微生物が不明だったため、国立感染症研究所によって分析が進められていたが、肺や肝臓、ひ臓、胎盤の各臓器からオウム病クラミジアの遺伝子が確認され、特に胎盤には相当量の病原体が存在していた可能性があるという。
感染すると1~2 週間の潜伏期間を経て急激な発熱やインフルエンザに似た症状があり、肺炎や気管支炎などを引き起こす。重症者は呼吸困難や意識障害を伴い、心筋炎や肝炎、神経障害等を合併して死に至る。妊婦の感染例では流産報告があったが、死亡は国内で初めてだという。