「豚ユッケ」「豚肉のタルタル」「蜂蜜離乳食」――レシピ投稿サイト「クックパッド」に、こんな「危ない」レシピが投稿されている。
生の豚肉を食べたり、乳児に蜂蜜を与えたりすると、健康被害を受ける可能性がある。同サイトはユーザーが自由に投稿できるCGM(Consumer Generated Media、ユーザー投稿型メディア)で、利用規約には「賠償責任を負いません」とあるものの、投稿されたレシピの安全確認については、どう考えているのか。運営会社に聞いた。
「食中毒などは自己責任で...」
「生食の危険性については自己責任で!絶対に国産を選んでください!」――自身が投稿したレシピについて、投稿者はサイトでこうコメントしている。レシピの名前は「豚ユッケ」(2016年5月ごろ投稿、17年4月10日朝には確認可能だったが、同日夕段階では既に削除)。
生姜焼きに使う生の豚肉をコチュジャンやごま油とともにあえた一品で、牛肉の代替レシピだ。
しかし、厚生労働省が食品衛生法に基づき、豚肉や豚の内臓を生食用として販売・提供することを禁じた(2014年6月12日付)ため、豚肉の生食はいわば「御法度」。同省も公式サイトで「『新鮮』かどうかは、関係ありません」と強く注意喚起している。
投稿者はそうした点を把握しているのだろう、冒頭のコメントに加え、
「心ない店の食中毒事件のせいで、撲滅状態にあるユッケをご家庭でも 食中毒などは自己責任で...」
とことわっている。
なお、このユーザーは他に、生の豚肉を刻んで香味野菜とあえた「豚肉のタルタルステーキ」という代替レシピも投稿している(すでに削除)。
2つのレシピは17年4月9日ごろからツイッターで話題になりはじめ、
「放置は出来ない」
「何か起きてからでは遅い」
「やばい感じ」
と厳しい指摘が相次いだ。
なぜこのタイミングなのか。実はその2日前、痛ましい事故が東京都から発表されていたためだ。東京都足立区に住む生後6か月の男児が3月30日、離乳食として与えられた蜂蜜入りジュースが原因と見られる乳児ボツリヌス症で死亡した一件だ。
利用規約でユーザーの「自己責任」を強調
発表をうけ、サイトに投稿されていた蜂蜜入りの離乳食レシピが大量「発掘」。この流れで、先述のレシピにも注目が集まったらしく、今回の死亡事案とクックパッドのレシピとの関係は不明だが、情報発信責任を問う声も少なくない。
ただ、クックパッドは掲載情報を編集・校閲しない、いわば「CGM」だ。プロバイダー責任制限法(プロ責法)を念頭に置いてか、クックパッドは利用規約に
「当社は、本サービスの利用により発生した利用者の損害については、一切の賠償責任を負いません」
「利用者が、本サービスを利用することにより、第三者に対し損害を与えた場合、利用者は自己の費用と責任においてこれを賠償するものとします」
と明記し、ユーザーの「自己責任」を強調している。
一方、クックパッドは4月9日16時、サイトで声明を発表。男児の死亡事故に触れ、
「クックパッドはこのような大変悲しい出来事に接し、サイト内に投稿された料理レシピについて再度確認の上、必要に応じた注意喚起を更に実施して参るとともに、皆様の『毎日の料理を楽しみにする』ために、食の安全に関する発信をさらに強化し、皆様の知見の向上を一層サポートさせていただく所存です」
とコメントし、「離乳食 はちみつ」で検索表示されるレシピを再確認し、必要に応じて注意喚起を行う事などを約束した。
投稿者以外の意見も「対応する」
では今後、レシピのチェックは継続的に行われるのだろうか。クックパッド広報部はJ-CASTニュースの4月10日取材に対し、
「当社では利用者様から投稿いただいたレシピの確認を都度実施しております。利用規約に基づき安全に反するものについては、メールなどのコミュニケーションツールを使用して、適切にご利用いただけるようレシピ投稿者様へのご相談やお願いのご連絡を差し上げるとともに、レシピに関する注意点を当社にてリンクをする等の注意喚起を併せておこなっておりました」
「投稿者以外からのレシピへのご意見につきましても本件と同様に弊社にて確認の対応を取っております」
と説明した。