指の股のバイ菌は4回こすらないと消えない
J-CASTヘルスケアの取材に応じた共同研究チームの舟橋健司・名古屋工業大学准教授(情報工学)によると、「実験には10人ほどの子どもに参加してもらいました。みんな、『僕も(私も)やりたい』と楽しみながら実験を続けていました。この様子から見ても実験は成功だったと思います」という。まだ、具体的なスケジュールは決まっていないが、今回開発したVR技術は、まず、あいち小児センターの外来から使い、周辺の医療機関に広めていく計画だ。
舟橋准教授はこう語った。
「特に手洗いVRシステムは、ゲーム感覚で正しい手洗い方法を学べるため、ほかの小児病院や幼稚園、小学校、自治体などに広めたいと考えています。リープモーションという、実際の手の動きをマウスや画面タッチを使わず、空中ジェスチャーからそのままコンピューターに取り込む技術を使い、子どもが正しい動作で手洗いをしないと、バイ菌が消えないシステムを作りました」
「大人でも石けんで1分間、指の股まで全部洗わないとバイ菌は流せません。そこまでは厳密にしませんが、ちょっとゆるくして、子どもがちゃんと両手の指を交差し、こすり合わせて指の股まで洗っているか、その際、バイ菌のいる場所を4回こすってダメージを与えないと消えないようにしました」
「バイ菌は目に見えませんから、子どもに口で『ちゃんと洗いなさい』と言っても分かりません。しかし、巨大なイラストのバイ菌が消えていくのが見えると、子どもは楽しみながら正しい手の洗い方を身に付けます。VRというと、ゲームと誤解されている感じがありますが、様々な可能性を持っていることを一般にも理解してもらうきっかけになることを期待しています」
この手洗いVRは大人にも驚きだったようで、実験イベントでは、バイ菌が消えていくと、大人まで「お~、スゴイ」という歓声を上げたという。