医薬品メーカーのエーザイは、保険薬局や自治体向けに2017年4月3日から嗅覚識別テスト「UPSIT series(アップシットシリーズ)」の販売を始めた。
加齢とともに変化する五感のなかで嗅覚は、視覚や聴覚などに比べると年齢とのかかわりで語られることは多くない。だが、最近の研究では、その衰えが重大な警告である可能も指摘されている。
学会で報告されたコワ~い話
スウェーデン・ストックホルム大学のヨナス・ オーロフソン博士らのグループはこのほど、中高年期に嗅覚が衰えると早期に死亡の可能性があることを報告。米老年医学会の機関紙のウェブサイトに2017年3月22日、その研究報告が掲載された。
それによると、同博士らのグループは40~90歳のスウェーデン人1774人を10年間にわたり追跡し、結論を得たという。オーロフソン博士は「われわれが得た結果は認知症では説明できない」としている。
「アップシットシリーズ」を発売したエーザイによれば嗅覚は、食品腐敗や衛生環境、ガス漏れ、火災の検知など日々の生活の安全に関わる重要な感覚の一つ。嗅覚のなかにも「何のにおいか嗅ぎ分ける(識別)力と、においが薄くても気付く(閾値)力」があり、加齢のほか、体調や記憶、心理的状態によってもその力が変わることを認識しておく必要がある。