裁判の判決は確定
読売、朝日の2紙が触れている最高裁の決定(16年11月24日付)を報じる翌々日の26日付朝刊の見出し(データベース検索)を比べると、
読売「契約金報道 巨人軍の勝訴確定 最高裁 朝日の名誉棄損認める」
朝日「巨人軍新人獲得の朝日新聞記事 高額契約、記述は『真実』 最高裁で確定」
と大きく異なっている。
また、26日付記事の本文で、先に引用した「NPB関係者への取材を怠った(中略)ことには一切言及せず」(読売)に関係する部分を読み比べると、
読売では「(高裁判決は)朝日新聞記者がNPB関係者に裏付け取材をせずに、『大幅な申し合わせの超過は許されない』と誤解したまま記事を書いているとし、(中略)巨人軍の名誉を棄損したと結論づけた」となっている。
朝日では、判決について同様の記載はないが、巨人の広報部のコメントとして「朝日新聞が必要な取材もせずに報道した記事により(以下略)」との表現は掲載している(16年6月9日付の高裁判決を伝える朝日記事では、「NPBへの取材をせずに、今回の<巨人軍の>事例が『同じ厳重注意処分に相当する』という事実を示した」と指摘があったと触れている)。
問題となった元記事は、朝日新聞が2012年3月15日付朝刊などで、巨人が新人6選手と、プロ野球の当時の申し合わせ(最高標準額)を27億円超える計36億円の契約金で契約したなどと報じたもの。1審の東京地裁判決では、巨人の請求を棄却。高裁判決では、朝日新聞に330万円の支払いを命じた。最高裁では、巨人と朝日双方の上告を退け、高裁判決が確定した。
また、朝日の人権委は2012年7月、巨人の申し立てに対し、「報道と取材に問題なし」との見解を出した。その後、巨人は「見解の見直し」を求めたが、同人権委は17年1月、再審理しないことを決め、巨人に通知した。今回、巨人側はあらためて人権委に申立書を送った。