「待機児童の解消」にあっさり白旗 甘かった政府の想定

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財源の確保が課題

   プランの大前提になるのが保育ニーズの把握、つまり保育園を希望する児童をどう見積もるかだ。実際には、国の計画は、自治体の見込む数字の積み上げだから、定義がバラバラでは信頼できる数字が集計できるわけがない。定義の統一は、出発点を整える意味で一歩前進といえる。

   目標の数字がまとまったとして、そこには財源という大きな壁が立ちはだかる。 自治体による保育所整備に加え、厚労省は一定の基準を満たす「企業主導型保育所」などを増やす方針だが、そのために認可保育所並みの補助金を出す必要があるなど、財源の確保が課題になる。

   日本総合研究所は2020年からの5年間で0~2歳児の保育需要が2万人分増えるとして、そのための保育所運営費の増加は国費分だけで100億円程度になると試算している。

   また、保育士不足が深刻化する中、人材を確保するために待遇を改善し、職員の配置を手厚くするための財源確保も不可欠だ。政府はこれまで、必要職員の配置基準などを緩めて受け入れ枠を増やす応急措置を取ってきたが、保育中の死亡事故も後を絶たず、保護者からは安心して預けられる保育所を求める声が強まっており、これもお金がかさむ要素だ。

   自民党内には、保育充実を含む財源対策として「こども保険」構想なども出ているが、先行きは見通せない。2019年10月に消費税を予定通り引き上げるかも含め、財源をいかに確保するか、政府の「本気度」が問われている。

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