乳がんは日本人女性が発症するがんの1位で、12人に1人が生涯にかかるといわれる。しかも、女性ホルモンが影響するといわれ、小林麻央さんのケースが示すように若い世代にかかる人が多いのが特徴だ。
その乳がんを防ぐには食物繊維をたっぷりとると効果があがることが国立がん研究センター研究班の調査で明らかになった。研究成果は国際がん研究誌「Cancer Causes&Control」(電子版)の2017年4月4日号に発表された。
食物繊維が原因の女性ホルモンを抑える
同センターの発表資料によると、調査は全国9地域の45~74歳の女性約4万4000人を対象に行なわれた。食生活を詳しく聞き取り、13~16年間、追跡調査して食物繊維の摂取量と乳がん発症の関連を調べた。調査期間中に681人が乳がんにかかった。
その結果、食物繊維を食べる総量が最も多い人は、少ない人に比べ、乳がんの発症率が37%低かった。この結果について、研究班では発表資料の中でこうコメントしている。
「乳がんの発症には女性ホルモンのエストロゲンが関わっていますが、食物繊維がエストロゲンの腸内吸収を抑制させている可能性があると思われます」
乳がん予防のためには若い時から意識してサラダをたくさん食べるのがいいようだ。米ハーバード大学のチームが「高校生の時から食物繊維の豊富な食事をとると乳がんの予防効果がある」という研究をまとめ、米小児科学誌「AAP」(電子版)の2016年2月8日号に発表した。
論文によると、しっかりした健康データがある米国看護師健康調査の中から27~44歳の女性約9万534人を対象に、食生活と乳がん発症率の関係を20年間追跡した。対象者全員に「思春期の食生活調査」を行ない、高校時代の食事内容を聞いた。
その結果、食物繊維が多くとっていた女性では、少ない女性に比べ発症リスクが12~19%低くなった。特に高校時代に食物繊維を多くとっていた女性は、少ない女性に比べ、全体のリスクが16%低くなるばかりか、閉経前の若い時期での発症リスクが24%も下がった。