「肥満は恥ずかしくないという意識を持って」
それぞれの質問に対し、「強くそう思う」から「まったくそう思わない」まで7段階で答えてもらい、対象者がどの程度、自分の肥満を恥じているかを測り、健康度との関連を調べた。その結果、肥満を「悩んでいない人」から「非常に気にしている人」まで3段階にわけて分析すると、次のことがわかった。
(1)上位の「悩んでいない人」は下位の「非常に気にしている人」に比べると、全ての数値の平均がよく、よく運動していた。「非常に気にしている人」の中には外出さえしない人が多かった。
(2)メタボリックシンドローム(代謝異常症候群)になるリスクは、「気にしていない人」は下位の「非常に気にしている人」に比べ、46%低かった。また、脳卒中や動脈硬化の危険が高い高脂血症になるリスクは88%も低かった。
つまり、同じくらいの高いレベルの肥満の人でも、気の持ちようで、自分の体を恥じていない人は健康にいい影響を与えるのだ。
今回の結果について、バール博士は論文要旨の中でこう語っている。
「肥満を恥ずかしいこととすることで、肥満者がダイエットに励み、健康を改善させようとするだろうという思い込みが社会にあります。しかし、そのような肥満者を見下す風潮は逆の効果をもたらすことを私たちの研究は明らかにしました。肥満者を悩ませ、苦しませることが彼らのストレスを高め、より多くのカロリーをとるようにしています。太った外見が恥ずかしいと感じると、運動をさけるようになります。肥満は恥ずかしいことではないという意識を肥満者自身も持ってください」