Yahoo!は「王者だからこそやるべきことがあるはず」
――メディアなのかプラットフォームなのか、立ち位置が「あいまい」だと評するなど、本書ではYahoo!に対する論調が特に厳しいように思います。これはどうしてでしょうか。
藤代 読者からも、そのような意見をいただくことがあります。ですが、決してYahoo!にだけ厳しいわけではありません。「批判的に見る」「検証する」のがジャーナリズムの仕事なので、課題を挙げて、考えを聞くというのは当然のことです。たとえばSmartNewsなどについても、僕はこの本の中でいろんな問題を厳しく指摘しています。
ほかのメディアは全部回答を返してくれたんですが、Yahoo!は(宮坂学社長に取材を申し込んだものの)答えなかった。
それに加え、Yahoo!自身が、言っていることとやっていること、あるいは社会からの「イメージ」とやってることが全然違う。
今は、奥村(倫弘氏。Yahoo!ニュースの責任者を長らく務めた。現ワードリーフ社社長)時代の「ヤフトピ」ブランドの資産を急激に食いつぶしている状態だと僕は思うんですね。スマホでSmartNewsなどに追い上げられているのが、彼らの焦りにつながっていると感じます。
あとはやっぱり、Yahoo!がPC時代の「キング(王者)」だったということ。「Yahoo!で見れば安心」と言われるブランドを確立し、約10年間の黄金時代を築いた。「王者だからこそやるべきことがあるはず」と。
――期待するからこその厳しさ、ということでしょうか。
藤代 ぶっちゃけて言えば、SmartNewsやNewsPicksなんて、まだ生まれたての子どもみたいなものです。Yahoo!と彼らを同一視することはできないですよね。
Yahoo!はPC時代の王者であり、かつ宮坂社長も(Yahoo!個人からピューリッツァー賞を受賞する記事が出ることを目指したい、と発言するなど)メディアに注力すると宣言している。だからこそ、「きちんと本気でやる気があるんですか?」と問いたいんです。