2020年代を見据えた成長軌道を描けるか
うみも出尽くした感がある。2017年3月期に映画事業で1121億円の減損損失を計上する。映画のヒット作が乏しい中、動画配信の普及でDVDソフトなどの販売が苦戦するとみて、事業価値が目減りした分を損失として処理する。電池事業の売却に伴う減損処理328億円も2017年3月期に計上する。残された懸案を処理する一方で、赤字転落を避けるために保有する医療情報サイト運営会社、エムスリー株の一部売却で約370億円の売却益を出す点も市場に安心感を与えている。ソニーは2018年3月期の営業利益を5000億円以上にする(2017年3月期は2400億円の見込み)目標を掲げているが、「必ずしも高くない」(国内証券系アナリスト)との見方も出始めている。
3月31日には、一時代を画した東京・銀座の数寄屋橋交差点にあるソニービル銀座が閉館した。取り壊した後、2018~20年にはイベント広場「銀座ソニーパーク」として開放。東京五輪後に新ビルを建設し、22年に完成する。銀座の新ビルのように20年代を見据えた成長軌道を描けるか、ソニーの今後に市場は注目している。