ほどほどの酒ならやっぱり長生き!? ビッグデータで「健康論争」に決着

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健康の適量は1週間に缶ビール12本くらい

   さて、ひっくり返った「定説」をよみがえらせたのが、ケンブリッジ大学とロンドン大学の合同研究チーム。英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」(電子版)の2017年3月23日号に発表した論文によると、研究チームは、英国保健省が持つ30歳以上の193万7360人の健康調査の電子データを研究対象にした。かつてない規模のビッグデータである。しかも、対象者は全員、糖尿病や脳・心臓病などがない「健康な人」を選んだ。最初から「病気による禁酒」や「体が弱くて酒を飲まない(飲めない)人」を除外した。

   英国では保健省が「適度なアルコール摂取のガイドライン」を定めている。健康を守るための1日の摂取量の目安だ。ガイドラインでは、「男性は1週間のアルコール摂取量を21ユニット(1ユニットは10グラム分のアルコール量)、女性は14ユニット以内」を推奨している(編集部注:2016年1月からの新ガイドラインでは、男女とも1週間に14ユニット以内になったが、研究時点では旧ガイドラインを使った)。

   21ユニットとはどのくらいの酒量だろうか。350ミリリットルの缶ビールなら約12本、175ミリリットルのグラスワインなら約9杯、ウィスキーなら700ミリリットルのボトル1本弱、焼酎なら900ミリリットルのボトル1本弱、日本酒ならカップ酒8杯程度が21ユニットとなり、1週間分の目安だ

   研究チームは、「1週間に男性は21ユニット、女性は14ユニット飲む人」を「適度な酒量の人」に設定した。それ以上、飲む人を「過度の酒量の人」とし、「酒を飲まない人」と分け、12種類の心血管疾患の発症リスクを6年間追跡調査した。調査期間中に全体の5%の約9万7000人が心血管疾患を発症した。年齢や喫煙習慣、血圧、肥満指数などの要因を考慮し分析した結果、「適度の酒量の人」は「酒を飲まない人」や「過度の酒量の人」に比べ、全体的に心血管疾患にかかるリスクが低いことを確認した。「酒を飲まない人」に比べどれだけ低いか、主な病気ごとに記すと――。

   (1)心臓発作=32%減、(2)心臓病全般による予期せぬ死=56%減、(3)不安定性狭心症=33%減、(4)安定性狭心症=15%減、(5)脳卒中=12%減、(6)末梢動脈疾患=22%減、(7)腹部大動脈瘤(りゅう)=32%減、(8)全死亡リスク=24%減。

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