「自分の腕がない」感覚
そもそもイップスとはどんな病なのか。
プロスポーツでは、ゴルフでよく話題になる。2013年のマスターズで優勝し、日本でも人気のあるアダム・スコット選手(36)もパッティングのイップスで悩んだひとりだ。思うようにパターが打てなくなる例が多い。
イップス治療を行う「IMTメンタルオフィス」の阿部久美子氏は4月6日、J-CASTニュースの取材に対し、
「イップスとは、意識と無意識の統合が崩れている状態です。スムーズにピッチングがしたいという意識に反して無意識に体が別な動きをしてしまう運動障害です」
と話す。
イップスになった野球選手の中には、「自分の腕が無い」「指先の感覚が無い」「足に力が入らなくなる」と表現するほど、自身の体をコントロールするのが難しくなる場合もあるそうだ。
藤浪投手や澤村投手の場合、死球を気にするあまり余計な力が入りコントロールが定まらなくなってしまった可能性がある、と阿部氏は言う。
それでは、克服方法はあるのか。
阿部氏は、
「メンタル面の改善が一番です」
と話す。
そのためには、専門家のカウンセリングやチームメイトなど周囲のサポートが有効。阿部氏が聞いた話では、あるプロ野球のコーチは、イップスにかかった選手に対し、「技術的なことは指導せず、そっと見守る」といった対処をしたそうだ。