時代の移り変わりに対応しきれず
Ustreamはなぜ消滅の道をたどったのか。ITジャーナリストの井上トシユキさんは、いくつかの要因を指摘する。
ひとつは、インタラクティブ性の問題だ。Ustreamはチャットやツイッターでのコメント機能などを搭載していたものの、この点では、ニコニコ生放送や、後発のサービスに比べ見劣りがしたと井上さんは言う。
「生配信は誰でもできるんですが、クオリティーの高い、『見せる動画』にするのは簡単ではない。閲覧者を集め、自らの『承認欲求』を満たせるのはごくわずかです」
こうした部分を補完する「コミュニティー」づくりが、Ustreamはうまくいかなかったのでは、と見る。
もうひとつは、「動画配信」という行為が当たり前となってしまったことだ。
「今やツイッターやフェイスブックなどでも、『みんなで花見です!』というような動画を、簡単に生配信できるようになってしまいました。『動画配信』という行為へのロイヤリティーが低下し、SNSでの投稿の『選択肢』のひとつに過ぎなくなったわけです。そうなると、動画配信単体のサービスであるUstreamとしては苦しいでしょう」
井上さんはUstreamに限らず、スマートフォンの時代に移り変わる中で、ネットサービスは転換期にさしかかっていると語る。
「つい先日、世界のOSシェアで、Android(アンドロイド)がWindows(ウィンドウズ)を抜いて、初めてトップになったという調査結果が出ました。これを見ると『パソコンの時代』は完全に終わったな、と感じますね。Ustreamにも、こうした時代の変化が影響したということはあると思います」