東芝決算、前代未聞3度目の延期か 上場廃止危機でも株価は上昇

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   深刻な経営難に陥っている東芝。その株価が大きく乱高下している。2017年4月5日の終値は、大きく値を下げた(21円40銭、9.38%安)前日から8円10銭(3.92%)高の214円90銭で引けた。

   懸案となっていた米原発子会社のウェスチングハウス(WH)は米連邦破産法11条の適用を、3月29日に申請。株主から怒号が飛んだ臨時株主総会も終え、ひと息つきたいところだが、2016年4~12月期の決算発表が、異例の3度目の延期となるかもしれないという。決算書の提出期限は4月11日だ。

  • 東芝の決算「3度目」の延期で上場廃止か? (画像は、東京証券取引所)
    東芝の決算「3度目」の延期で上場廃止か? (画像は、東京証券取引所)
  • 東芝の決算「3度目」の延期で上場廃止か? (画像は、東京証券取引所)

東芝株、三菱UFJグループが売却

   東芝の2016年4~12月期の決算発表が、3度目の延期となりそうな背景は、米原発子会社のウェスチングハウス(WH)の内部統制問題をめぐり、2016年度から監査を担当している、PwCあらた監査法人との調整が難航していることがある。

   問題となっているのは、WHの経営幹部が部下に「不適切な圧力」をかけたこと。東芝は、損失の引き金となった米国原発建設会社の買収をWHが決めた2015年秋まで遡って調べている。その一方、監査法人側は15年秋以前にも範囲を広げて調査することを主張しているとされる。

   4月11日の決算発表を控え、それでなくても遅れている調査を早急に終わらせたい東芝と、時間をかけて調査したい監査法人側との調整が難航しているようだ。

   決算発表が3度も延期されるとなれば、現在、整理銘柄入りしている東芝株の上場維持に「黄信号」が灯るばかりか、資金繰りを支える銀行の融資態度にも悪影響を及ぼす。

   すでにメガバンクの東芝への債務者区分はすべて、これまでの「正常先」から1ランク引き下げ、「要注意先」に悪化している。いわゆる、不良債権目前というわけだ。

   さらに、地方銀行などは融資を引き揚げる可能性があるほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の三菱UFJ信託銀行と三菱UFJ国際投信が、保有する東芝株の一部を売却。東芝の発行済み株式総数(3月27日現在)のうち、三菱UFJFGの保有割合は5.14%から3.54%に低下した。こうした動きが、上場廃止への懸念を再燃したようだ。

   2017年4月3日には前日(3月31日)と比べて13円20銭(5.47%)安の228円20銭。4日も続落。21円40銭(9.38%)安の206円80銭まで下落した。5日はやや戻し、前日比8円10銭(3.92%)高の214円90銭で引けた。

   3月の東芝株は、東証の売買代金ランキングでトップだった。

関東財務局の判断次第

   もし、決算発表ができない場合、東芝は上場廃止になるのか――。

   東京証券取引所は「(決算発表の)3度目の延期は聞いたことがありません」という。そのうえで、「企業が決算の延期を関東財務局に申請し、そこで承認を得られれば、こちらはそれに則って進めます」と説明。仮に、延期が4度目、5度目になろうと、「承認が得られ、期限内に提出してもらえるのであれば、上場廃止にはなりません」と話す。

   一方、関東財務局は「延期」の承認について、「(承認基準は)金融庁の企業内容等開示ガイドラインに則って審査していきます」と説明。ガイドラインの「やむを得ない理由」(24‐13)に該当するか否かが、ポイント。

   企業が電力の供給が断たれて電子計算機が使えなくなったときや民事再生法などによる債務未確定などを理由に財務諸表の作成が完了しないとき、過去に提出した有価証券報告書等に重要な虚偽記載が見つかり、訂正が間に合わなかった場合―― のケースが「やむを得ない理由」にあたる。

   また「3度目」となる延期に、J‐CASTニュースが2017年4月5日、「回数は関係ないのか」聞いたところ、「法令上やガイドライン上には、延長回数に規定はありません」と、理財局の担当者は話した。

   ただ、「法律がつくられたときの想定は、1回だったと思います」とも。そもそも、「3度目」があるとは思いもよらなかったようだ。

   東芝の場合、「3度目」の申請承認が得られなければ、「8日後」の4月21日が決算書提出の最終期限。同日までに決算発表ができなければ、上場廃止となる。

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