閉ざされた空間、「妊活」というキーワード
妊婦と妊娠を望む女性との対立は、昔からよく聞く話だが、ネット上では電車内でのトラブルに関する投稿が多い。
女性の匿名掲示板「ガールズちゃんねる」でも、
「確かに妊婦を恨んでるような態度の人、電車で見たこと有ります。お腹を攻撃されたら大変です!」
「私自身も、妊娠中に電車内で60代位の女性達に『妊婦だからって甘えて座るな!』と怒られたり同じ女性なのに酷い」
「ややこしいことに巻き込まれるのは嫌なので、マタニティマークは付けませんでした。また優先席の前に立ったら嫌みを言われた話をネットで読んだので、避けるようにして...」
といった書き込みが目立つ。
電車の中で妊婦に対するストレスからみのトラブルが目立つようになったのはなぜか?
心理学者の杉山崇氏に話を聞いた。
「まず、電車の中は特殊な環境だということです。閉ざされた空間です。たとえば、私たちでもマナーが悪い人を見て腹が立つことありますよね。でもその場から逃げようがないのでストレスを感じる。電車だけでなく、新幹線や飛行機は、とても特殊な環境なんです」
ただでさえこういう環境下でストレスを感じやすいのに、 「妊活」「晩婚化」といったキーワードもストレスを助長していると、杉山氏は続ける。
「女性の結婚が遅くなり、高齢出産が増えました。一方で「妊活」という言葉も定着しています。この状況は、子供が欲しい女性にとっては「天国と地獄」なんですよね。『私もできるかもしれない』という期待と、『産めるのかなー』という不安。本来、子供は授かりものですが、葛藤が生まれるのは仕方のないことだと思います」
こういう状況下で「匿名で自分の不快感を表現できる」ネットがあることで、いわゆる「妊婦叩き」が目立つようになったのではないか、ということだ。