子どもの「スポーツ英才教育」は危ない 早くから専門競技を決めるとケガばかり

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工藤公康監督「小学生のエースは全員肘を痛めている」

   日本のスポーツ界からも早くから1つの競技に特化することに心配の声がある。小学校時代から野球一辺倒で練習を続けることの弊害を、プロ野球ソフトバンク監督の工藤公康氏が、筑波大学での講演の中でこう語っている(『筑波大学基金』ウェブサイト・2015年2月2日付より要約抜粋)。

「僕は中学時代に肘を壊したことがあります。プロに入ってからも最初に痛めたのは肘です。僕は野球教室では子供たちに、『肩・肘を壊したことがある人は手をあげて?』と聞くようにしています。すると半分くらいの子供が手をあげます。特にそのチームのエースは間違いなく手をあげます。これは野球界にとって一大事だと感じました。だから僕自身がスポーツ科学を学び、子供たちに肩や肘を壊さない投げ方やトレーニングを伝えていこうと思いました」

   また、大リーグ・マリナーズの元トレーナー、森本貴義氏もジュニアサッカーの保護者向けサイト「サカイク」(2015年3月19日付)の「サボっているほど良い選手?」の中で、色々なスポーツ経験を積むことの大切さをこう語っている(要約抜粋)。

「日本のトップ選手のほとんどは、競技にかかわらず、小さい頃からの練習のしすぎで、どこかに故障を抱えています。野球を例にとると、中学までは世界トップ。日本特有の長く厳しい練習で技術面では優位ですが、その後は伸びません。もともと体の強い選手が生き残るだけの練習です。ドラフトでは『サボっている選手を獲れ』という言葉があるほどで、小中高で練習を真面目にやってきた選手は、体に何らかの問題を抱えています」
「米国では子どもが特定の競技だけを集中して行なうことはありません。小中学生は3~4つの競技をかけもちでプレーします。高校生も2つ以上行います。1つの競技『だけ』をプレーすると、特定の故障を起こしやすいのですが、いくつかの競技をすると、特定の箇所に負荷がかかることはありません」
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